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読書感想/イノセント・デイズ

『イノセント・デイズ』 早見和真 著

死刑囚・田中幸乃の死刑に至るまでの経緯を描いた作品。
自分の心を守るには?と改めて考えさせられました。

どうでもいい話ですが、ここ一か月のうちで、電車内でこれを読んでいる人を3人見ました。まだまだ売れているみたいですね。

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

あらすじ

死刑囚である田中幸乃は、死刑執行の日まで6年あまり、ただ静かに過ごしていた。

罪状は放火殺人。
昔の恋人に捨てられ、ストーカーと化していた彼女が、最後には元恋人の自宅に放火。
当の元恋人は外出しており無事だったが、妊娠中の妻と子供2人が死亡、周辺住民もけがを負った。

裁判では、

「覚悟のない17歳の母のもと―」

「養父からの激しい暴力にさらされて―」

「中学生時代には強盗致傷事件を―」

「罪なき過去の交際相手を―」

「その計画性と深い殺意を考えれば―」
といった裁判長の主文が読み上げられ、最後に死刑が宣告される。

その主文はただの客観的事実であり、実は異なる事情が存在した。
しかし、田中幸乃は死刑を受け入れ、待ち望んでいた…

分かりやすい犯罪者像を求める

母親が17歳の時に生まれた、養父の暴力を受けていた、
中学生時代の強盗傷害事件を起こし捕まった。
これらの客観的事実を非常に嫌な言い方をすれば、田中幸乃は犯罪者になるべくしてなった人生を送っていると思われています。
これは私だけの偏見ではなく、「社会」には少なからずそういう目は間違いなくあるでしょう。

人は殺人者等について、理解できない異常な存在にしたがります。
少しでも「元々、自分とは違う存在なんだ」というレッテルを貼りたがるものです。
例えば、残酷な表現のあるアニメを見ていることは、一つのレッテルですね。
(自分は見ていない)そういうアニメを見ているからやっちゃったんだ、ということで、自分との違いを探していくということですね。

 

期待と裏切り

田中幸乃は、典型的な「人にNOと言えない」人物です。
周りの人に利用されるだけ利用され、捨てられることもしばしば。
それを気にする人と気にしない人がいますが、田中幸乃は徹底的に気にしてしまうタイプ。

誰かに必要とされなければ生きていけない。
必要とされないならば、死んだ方がいい。
どうせ裏切られるなら、もう要らない。
…といった考えで、死に場所を探していたところに死刑宣告。
彼女にとっては渡りに船だったようです。

すぐになくなるなら最初から要らない、最初から他人に期待しない、幸運は望まない、
最悪の事態を想定しておく。
田中幸乃が自ら死を望むようになった考え方です。
しかし、この考え方は、私は時として非常に有効だと考えています。


プラスに生きるためのマイナス思考

私もどちらかというと自己防衛として、
マイナス思考を良いこととして捉えています。
気持ちのリスク管理とも言えるかもしれませんね。

ジョジョの奇妙な冒険第6部のプッチ神父
ジョースター家を倒したラスボスである彼のセリフにこんなものがあります。

悪い出来事の未来も知ることは「絶望」と思うだろうが逆だッ!
明日「死ぬ」とわかっていても「覚悟」があるから幸福なんだ!
「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすからだッ!

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(背景を説明すると、プッチ神父により「人類全員が一度未来を経験し、自分に今後どんな不幸が訪れ、いつ死ぬのかを理解した上で、再び自分の人生を送っている状態になった」ことの素晴らしさを説明しているセリフです。神父は、絶望を乗り越える精神を人類全員が持つことこそが、「天国」と呼ばれる状態だと考えていました。と、説明しても、知らない人はこの話は意味不明でしょうが…)

前向きに生きるため、後ろ向きのことを考えて「覚悟」しておく。
期待をゼロにしていれば、少しの良いことも大きな幸せに感じられます。
完全に期待を捨て去る程に自分をだますのは、なかなか難しいですけどね。

というわけで、私は自分のマイナス思考はむしろ長所だと認識しています。
なので、「長所は明るく前向きなことです」みたいな人はあまり信用していませんが、
それが社会的、または物事を進める上で正しいとも思われていますので、
もし賛同していただけたとしても、アピールはしない方が良いと思います(体験談)。

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