著者名は「しゅのう」と読むそうです。
タイトルと表紙は見たことがあった有名作品。
ミステリー、叙述トリック作品として、色んな人が推していますね。
元々は1998年頃の小説だそうですね(舞台は2003年だそうですが)。
なので、携帯電話は出てきません。
以下、ネタバレを含みます。
あらすじ
主人公の「わたし」は、通信教育・出版会社で働いている。
通信教育を行っているため、
高校生の住所・氏名・成績などを確認することは可能である。
「わたし」は一人の好成績を修める女子高生に目を付けた。
名前と成績・住所しか知らない女子高生・樽宮由紀子を調べ始めた「わたし」。
それは、世間をにぎわした殺人鬼・ハサミ男として、
次のターゲットを彼女に絞ったということだった。
しかし、「わたし」が樽宮由紀子を追う中、彼女は先に殺されてしまった。
首を紐で絞められ、喉にハサミを刺されるという、
ハサミ男の殺し方と同じ殺し方で…
ぐるぐる回る
最初は一人称視点で物語が進みます。
と思いきや、主に一人称視点の「わたし」と、
続いて三人称視点の「警察サイド」の2つに分かれます。
一人称×複数人はよくありますが、
一人称と三人称が混在するとは珍しい気がします。
その視点がぐるぐる回っていくことで、
本書のミステリーとしての最大のトリックが生まれていきます。
違和感を解消したい
※完璧なネタバレです。
読み返しても分からなかったのですが、
最初から「ハサミ男=女」というイメージを読んでいて抱き続けていました。
その違和感を解消したいと思いながら、一気に読んでしまいました。
説明できない動機
結局は、真犯人のハサミ男が、なぜハサミを使うのか、なぜ成績のいい子を狙うのか、
その辺りは未消化のまま終わります。
個人的な推測で言えば、真犯人であるハサミ男には、特に理由は無いと考えられます。
成績が良い子を狙うのは、何かの基準を一つ設けたかったからでしょうか。
ハサミを使ったのも、身近にある凶器の中で、一番使いやすかったからでしょう。
ある行動の動機なんて、人に説明できるものだけではないですね。
そしてそれが自分にとって当たり前の日常であるほど、
他人がその動機に納得できるものかは分かりません。
例えば、私が夜明け前にふらっと散歩に出るのも、
動機があってないようなものです。
ただ、殺人はダメ、絶対。