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読書感想/向日葵の咲かない夏

「向日葵の咲かない夏」  道尾秀介 著

本屋さんで今でも平置きされていることがありますが、

もう10年以上前の作品なんですね。

Twitterにも書きましたが、表紙とタイトルで青春的なものを想像していました。

意外と人が死ぬミステリー&変態チックな内容もあるとは。

作品全体に不信感が蔓延していて、先が気になる作品でした。

 

以下、ネタバレを含みます。

 

あらすじ

主人公のミチオは9歳の小学4年生。

両親と3歳の妹・ミカとの4人暮らし。

夏休み前の7月に、休みがちなクラスメイト、

S君の家に担任に頼まれた届け物をすることになった。

 

S君の家で誰も出てこないことを不審に思ったミチオは、

覗き込んだ家の中にS君の首吊り死体を見てしまう。

慌てて学校に逃げ込んで先生たちに助けを求めるミチオ。

しかし、先生や警察が駆け付けたときには、死体は消えていた。

 

そもそもS君は死んでいたのか?という疑問も残る中、

一匹の蜘蛛がミチオの元に現れる。

蜘蛛はミチオに話しかけ、「自分はSの生まれ変わりだ」と告げる…

 

ミステリーと超常現象の境目

この本は解説(千街晶之さん)が言いたい事をだいたい書いてました。

その解説にもあったように、リアリティある殺人事件と、

S君が死後生まれ変わって蜘蛛になって現れるという超常現象が起き、

ファンタジーか、現実路線か?という境目を漂わされます。

 

細かいところはさておき

細かい突っ込み所はいくつかありますが、

(ダイキチが強すぎるとか、百葉箱って人が入れるか?とか)

登場人物達がみんな不安定で、読み進めるにつれ更に先が気になっていきます。

結局、ミチオの内面こそが一番の暗部ではありましたが、

それ以外の人物、岩村先生やミチオの母親も、かなりアレな人物です。

 

主人公の特性がオチ

見出しは目次でネタバレしないように書きましたが、

要は「主人公の病理(?)が作品全体のオチ」というのは

アリかナシかというところです。

特に本作の様に、一人称視点で進められる作品は、

読者は主人公の主観を中心にしか情報を得られないため、

あまりに奇抜な主観の持ち主では全く話が理解できなくなります。

 

そういう意味では、本作はそこもギリギリだったと思います。

病理以外は比較的一般的な感覚を持ち合わせているミチオ。

そして、随所に伏線を散りばめながら、

言われてみればそうだよねという納得もできる部分がある。

そこを上手く突いたという点で、

今でも本作が名作ミステリーとして売られていることが分かりました。

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