『望郷」 湊かなえ 著
どうも。離島ブームがまだ続いているGOです。
湊かなえさんは結構好きで、だいたい読むようにしています。
一つの離島に暮らしていた6人の、思い出話と現在が交差するオムニバス形式。
物理的に(橋を除いて)閉鎖された「白綱島」が舞台。
以下、ネタバレを含みます。
あらすじ
第一章は「みかんの花」。
白綱島市は、本土の市に吸収合併され、市ではなくなる。
その記念式典には、白綱島出身で、
全国的に有名な作家となった姉が登壇していた。
二十年以上前に島と母と自分を捨て、
健一という男と駆け落ちしていったきり、
これまで何の連絡もよこさなかった姉。
そんな姉が島を代表するスピーチをするのを、
冷めた目で見つめる妹が主人公。
認知症の母を介護しつつ、子育てにも追われて暮らす日々。
子どもは既に高校生になり、東京への憧れを持っている。
姉のせいで島に縛られた人生だと感じている妹は、
姉に反発している最中、姉が出ていった真実を知ってしまう。
他、「海の星」、「夢の国」など全6章構成。
田舎の閉鎖性はけっこう厄介
6人の主人公たちが、現在起きていることをきっかけに、
島で過ごした青少年期を振り返る話。
最初の「みかんの花」では、姉に嫉妬をしつつも、
全てを振り切って東京に出ていったことを羨ましく感じている様子。
他の主人公たちも、いい思い出ばかりではなく、
むしろ悪い思い出の方が多いようです。
白綱島で暮らす人々(各主人公を除いて)は、
ほとんどが閉鎖的な人間ばかり。
昔の封建的な家制度を残す家や、
島から出たこともほとんどないような人。
各主人公たちは、そんな閉鎖性を疎ましく思い、
島外への憧れを持ちながらもどこか島を捨てきれない、
そんな複雑な感情を持っているようです。
離島はさておき、田舎の閉鎖性はけっこう厄介です。
地方で仕事をすることもたまにありますが、
やはり東京や都心の人と文化が違うことがあります。
東京は結局、地方から寄せ集まった人が多いため、
基本的には「東京の人」という概念があまりありません。
江戸っ子は違うのかもしれませんけど。
四国はお遍路さん文化があるので、
けっこう旅行者や外から来た人にも寛容みたいです。
ただ、基本的に田舎や地方では、出身地はけっこう問題になりますね。
ハッピーエンド
湊さんの話にしては珍しく(?)、
ハッピーエンドというかハートウォーミングというか、
すっきりと終わる話も多かったです。
きっとドロドロした話なんだろうと読んでましたが、
これはこれで面白かったです。
八重山諸島は良かった
日本自体が島国なので適切な話か分かりませんが、
同じ国内でも離島の暮らしというのは文化が違いますね。
典型的な場所としては沖縄。
本島は普通の地方都市と変わらない部分も多いですが、
やはり国際通りやアメリカンヴィレッジを歩くと、
(観光地化はしているものの)少し違う感じがします。
また、ローカルな食堂にも入ってみると、
聞いたことのない食べ物もいくつか。
台湾のすぐ近くにあり、人口2000人ほどで、
一度だけ行きましたが、
亜熱帯ということで、2月でもTシャツ1枚でOK。
島内は自然保護地区で、マングローブの原生林があったり、
(野生のカンムリワシは見ることができました)
※行った当時は星野リゾート運営でした
島の半分くらいはコンクリートの道路が通っていますが、
「船浮」という集落だけは道路が続いておらず、
同じ島内でも、ボートを使わなければ行けないというのには驚きました(行ってませんが)。
また、島には信号が2つしかないそうです。
一つは石垣とつながる港のすぐ近く。
もう一つは、子供たちの勉強のために小学校の前に一つ。
ちなみに、島の方に話を聞いたところ、
9年間ほぼ毎日車に乗るけど信号にひっかかったことはないそうです。
本の感想からだいぶ話が逸れてしまったのでこれくらいにしますが、
写真は竹富島ですが。
お勧めの離島
本書では閉鎖的であまり良く書かれていない離島。
2016年以降、離島ブームが私に来ており、最近でも結構行っていました。
他には
・鹿児島県屋久島
など、再び訪れたい離島はいくつもあります。
また、皆さんのお勧めの離島があれば、ぜひ教えてください!