「頭に来てもアホとは戦うな!」 田村耕太郎
本書の感想を一言で言えば「現実主義」です。
「アホ」とは自分の足を引っ張る人のこと。
会社員であれば、上司だったり、部下だったり、同僚だったり、取引先だったり。
この中でも立場上、厄介なのは上司や取引先ですね。
私の現在は、取引先には恵まれてますが、上司には…
という私・GOのように人間関係にお悩みの方向けの本です。
以下、概要と感想をまとめてみました。
タイムコスト(時間にもコスト概念を)
著者がまず主張するのは、「タイムコスト」です。
お金であれば「対費用効果」「コスパ」など言いますが、時間についても同じ考えを導入するものです。
簡単に言えば、アホに関わる・悩まされる時間は無駄ということです。
妙なプライドは持たない
人と戦うのはどんなときでしょうか?
自分の正義を貫こうとするときだと思います。
しかし、組織においてアホな相手が上の立場にいるという現実がある場合、
それと戦うことは「超」短期的な満足は得られても、その先にメリットはありません。
ならば「プライド=正義」を脇に置いておいて、面従腹背が最終的に得をするということです。
確かにその通りで、会社で上司に対して正義感を振りかざしても意味はないですしねえ。
アホと呼びたくなるような上司と争って、得るものは何もないですし。
アホとの付き合い方
本書によれば、アホとは戦わないことを主張していますが、
距離を置くというわけではありません。
相手に対して、面従腹背でさも自分が負けたかのようにふるまい、味方にしておくことを提言しています。
対立して敵を作るよりも、表面上だけでも取り繕っておくことが重要です。
やり遂げたい事があるか?
組織にいて「成し遂げたいことがあるか?」にも寄ると思います。
例えば「自分の正義を貫きたい」人は、アホとも戦うべきでしょう。
しかし、それ以外のこと、「偉くなりたい」「会社をこういう道に進めたい」というような目標を持つ人は、権力を持つアホと戦ってはいけません。
超現実主義
結局のところ、まとめるとこんな感じです。
■権力のある人には、アホでも何でも敵対するな、時間の無駄だ。
■妙なプライドは捨て、アホにも取り入って利用できればしてしまおう。
■自分が上に立ったら、決して驕るアホにはなるな。
■人の評価を気にせず、自分は自分の評価軸で見極めよう。
■人生は一度きり、時間を無駄にしないで生きていこう。
…といったところでしょうか。
本書はあまりきれいごとを言わず、現実主義だと思います。
理解⇒納得⇒行動
他人の考えを取り込もうとする場合、理解⇒納得⇒行動の3段階があると思います。
正論だと頭でわかっていても、感情的に反発することがあるでしょう。
それは「理解はできていても納得はできない」状態です。
さらに「腑に落ちる(=納得)」段階に進んでも、行動に移すまでは再び高い高いハードルがあります。
そういう意味では、本書の内容は理解・納得はできますが、行動に移すのはいきなり難しいかもしれません。
こう振り返ると、私自身も少し無駄なプライドを持っているように思います。
まあ私の場合は出世に何の興味もないので、
自分の感情を殺してまで媚びるつもりはさらさらありませんが、アホと戦わないということは非常に重要なことだと改めて感じました。
ただ、私はアホと戦うのをたまに楽しんじゃうからいけないんだろうなあ。
学生や社会人1年目早々にこのような考えを持つ必要は無いと思いますが、
2年目以降の悩める若手にはぜひ読んでいただきたいと思いました。