手を抜こう!という意味ではないですよ。手を抜きたいけどね。
kintoneなどの業務系クラウド・アプリサービスで有名なサイボウズ株式会社。
最近では「働き方改革」などのテーマでも名の知れた会社で、学生の就職人気も高いそうです。
代表取締役の青野社長も、「夫婦別姓」に関する訴訟を起こしたこと等、個人単位でもメディアに登場するシーンも多いですね。
ちなみに青野社長は奥様の姓である、「西端」が本名だそうですね。
※追記:最高裁までもつれそうですね。個人的には、そういうのも含めて夫婦としての権利が得られると思っているので、嫌なら結婚しなければいいと思ってしまいます。
「会社というモンスターが僕たちを不幸にしているのかもしれない。」を読んで感想を書こうと思ってサイボウズについていろいろ調べてたら、
別の思う事が出てきたので、ちょっとタイトルについて書いてみようと思います。
<目次>
サイボウズの「余裕」
ソフトウェア会社で成功したサイボウズは、ほとんど「仕入」「製造原価」がありません。
2017年12月期の決算内容を見ると、売上95億円に対し、売上原価はたった6億円。
こうなると、人件費や広告宣伝費に使える割合が圧倒的に高いため、
新聞一面広告や自社メディア運営などの「ブランドづくり」も可能となります。
もちろんここに至る経緯と、競合ひしめく中での不断の努力は必要となります。
「サイボウズもかつては離職率が極めて高く、今で言うブラックだった」とサイボウズの中の人もよく言っています。
ただ、努力されているのに失礼な言い方かもしれませんが、経営的に「余裕」がある会社でしょう。
そのゆとりや余裕によって、今があって将来性が生まれる、そのスパイラルということでしょうね。
あくまでこれは会社としての余裕。
会社の余裕が社員に余裕を産む、そんな企業文化があるのが最大の強みでしょう。
仕事は80%くらいでやるべき
よく「どんな仕事も全力でやるべき」という考え方の人がいます。
それを否定することはしませんが、強制されるのは御免です。
そもそも一人が持つ業務量が、全力を出さなきゃ終われない量がある時点で「経営」としては間違っていると思います。
仮に同じ能力の10人の会社を想定します。
全員が本気(100)を出した場合、100×10人=1000の仕事ができます。
ここで、1000の量の仕事を受けてしまった場合を考えてください。
その時、さらに一人が何らかの理由で欠員となった場合、
全員が100の仕事を持っていたら1000の仕事を9人で行うことになります。
が、9人では100×9人=900しか仕事ができないため、100の量だけパンクします。
しかし、800しか仕事量がなければ、常に80×10人=800となり、全員80%の本気度で仕事がこなせます。
一人欠けても、残り9人がもう少し頑張って、90×9人=810の仕事ができれば十分こなせます。
要するに、全員がフルイニング全力投球してたら控えのピッチャーいなくなるよねってことです。
戸愚呂弟だって、100%は燃費が悪いのでなかなか見せません。
80%だって、かなり出し惜しんでましたよね。
ビルを平らにするのだって、80%でやればいいんです。
精神的にゆとりがない状態では、正に「こなす」ことだけになりがちですし、かえってミスも増えるでしょう。
60%くらいじゃ余裕があり過ぎですが、80%なら十分だと思います。
上ではチームで例えてますが、個人の仕事の采配でも同じことが言えます。
業務量100を、処理能力100が限界の人にやらせるから間違っているわけで。
処理能力100の人は、業務量80くらいを処理して、突発的なトラブルやイベントに耐えられませんからね。
副業(複業)を認められないのは管理能力が低く社員を信頼していない会社
サイボウズには「100人いれば100通りの働き方」という方針があります。
その考え方の実践のひとつに「副業(複業)」の容認・奨励があります。
業務を80%くらいの力でこなしていく中、局地的(例えば月末の繁忙日)やトラブル(例えば欠員)以外には、20%の余裕があります。
その20%を副業やスキルアップ、レクリエーションなどに使うのがいいでしょう。
なかでも、会社外で「お金を稼ぐ」副業はベストだと思います。
副業を認めない会社は、管理能力がなく社員を信用していない会社です。
社員を全て管理したいけど管理職・経営層にはそこまでの力はない会社ですね。
また、社員を信用していないので、社員がこれまでにないことを始めることを嫌います。
「トラブル起こされたら面倒だからやめろ」(これはまだ分かりますが)、
あるいは「副業やる余裕があるなら本業でもっとやれ」(こっちが多そう)という考え方です。
もちろん社員側も申告等は必要ですし、利益相反行為や本業への支障は避けねばなりません。
80%の力で仕事をするには忙しそうに見せよう
新人のうちは100%に近い状態で仕事(研修等も含め)をする必要があるでしょう。
慣れないですし、100%の力でも正直大したものではないからです。
しかし、少し経って経験やスキルが身についていけば、効率的に働くことができるようになりますので、多少の余裕が出てくるものです。
良い意味での手の抜き所を覚えると言ったところでしょうか。
会社や上司にそういう考えがない場合、「忙しそうに見せる」のも技術だと思います。
特に大企業では「できる人に仕事をさせる」風潮はまだまだ強いように感じます。
やればやるだけ、仕事が振ってこられるので、終わりが見えなくなってきます。
なので、80%の力でやりつつ「これが限界」というアピールも必要です。
それで評価が下がるような会社なら、人を大切にするような会社ではありません。
それでは今日も仕事を100%でやるフリをしてきます。