ひとり旅の番外編。
先日、LCCに乗っていたときのお話です。
離陸の際は「着席してシートベルトを締めてください。座席のリクライニングは戻してください。荷物は棚に収納するか、前の座席の足元へ入れるようにお願いします」と言われますよね。
自分ではきちんと座ってたつもりですが、
見回りにきたCAさんから「シートベルトがねじれてますので、締めなおしてください」と言われました。
確かに、ベルトのヒモが一回転した状態で締められていました。
反射的に「これくらい良いんじゃ?」と思ってしまったのを反省した話。
前置きが長いですね。
<目次>
飛行機のルールの厳格さ
シートベルトだけでなく他にも飛行機の離陸時なら、
- 座席テーブルは元に戻す
- 荷物は必ず前の座席の下
- リクライニングも戻す
- 窓は全開にする
など、細かいルールがあります。
これらを厳格に守らないとキャビンクルーに注意を受けます。
例えば荷物を自分の足元に置いていると「有事の際に危険なので、必ず前の座席の下に入れてください」と注意されます。
割れ窓理論
「割れ窓理論」という環境犯罪学の用語をご存知でしょうか。
街中において、割れた窓が放置されているようなエリアでは、ゴミも散らかり、浮浪者が居ついて、治安も悪化するという理論です。
ニューヨークのジュリアーニ市長は、地下鉄の落書きを一つ一つ消していく事で、徐々に地下鉄内の犯罪そのものを減らすことに成功しました。
つまり、小さな不正を放置すると、大きな不正も生まれやすいということです。
日々の心がけにも通じるものがありますね。
今回のことに話題を戻すと、
たかがシートベルトがちょっと捻じれている程度のことであっても、
「それを放置し続けると、いつかもっと大きな問題が起きる」という認識で、私は注意されたのでしょう。
妥協点を設けないこと
恐らくこの場合、私たち乗客に課せられたルールはシンプルであり、
「シートベルトをきちんとする」ことだと思われます。
しかしその単純なルールの中には、ねじれ・たるみ・ベルトの位置など細かい点もすべて含めて妥協点を設けないということが徹底されています。
今回は、「シートベルトが一回転分、捻じれている」というものでした。
恐らく安全上はほぼ全く影響ないものと思います。
しかし、仮にこのシートベルトのねじれを許してしまった場合、どんなことが考えられるでしょうか?
たかが一回転とはいえそれを許してしまうと、次は、ねじれまくっていても金具さえハマっていればいいのか?という疑問につながります。
シンプルなルールを、妥協点を設けず徹底することで、
その背後に生まれてしまう「あいまいな不正・リスク」を避けることができます。
「マニュアル通り」は批判されがちだけど
「マニュアル通りの対応」と聞くと、ネガティブなイメージを持つのではないでしょうか。
しかし、なぜマニュアルがあり、働く側にそれに準じた対応が求められるかというと、
(人材教育的な意味を除けば)同じように割れ窓理論的リスク回避が根底にあります。
ケースや企業規模にも依りますが、サービス業において特定の一人を特別扱いした場合、
他の顧客から「不公平だ!こっちも同じ対応をしろ!」となりかねません。
そのため、全員がマニュアルを理解した上でそれに基づいて行動することで、
「公平」に顧客対応ができることになります。
(もちろん、配慮が必要な方(ex.車椅子の方)などは別ですけど)
銀行時代の思い出
銀行員時代は、こんな細かい所でうるさいなあ…と思うことが多々ありました。
恐らく皆さんも、窓口で「手続きも面倒だけど、確認と説明が長い」と思ったことがあるでしょう。
ハンコ押印をひとつとっても、例えお客さんが目の前に居たとしても、
ちょっとでもかすれたらダメ、薄くてもダメ、後からにじんでもダメ、「代わりに押して」と頼まれて押すのもダメ。
記入事項は、ちょっとでもミスったら最初から書き直しも当たり前。
当時はまだ世間知らずだったせいか、なんて無駄なルールが多いんだろうと不満ばかりでした。
ただ銀行に関しては、少し歳を取った今でも、「なんて無駄なルールが多いんだろう」という不満はありますけど。
店員さんに優しい目を
我々一般人からすると、日常生活で一番接することが多いのがお店の店員さんでしょう。
時に融通が利かないと不満に思うこともあるかもしれませんが、顧客は自分だけではないですし、上に書いたような様々な事情でできたルールに則ってるのだなと、優しくしてあげてください。
ただ、やる気のない店員には、多少の文句は言っても良いと思いますが。