『1人で100人分の成果を出す軍師の戦略』 皆木和義 著
最近、個人的な戦国ブームから少し遠のいておりましたので、
改めてこういう書物に手を出してみました。
といっても、戦国大名が主役ではなく、軍師と呼ばれる補佐が中心の本。
100人力とはよく言いますが、私のイメージでは物理的な「力」のイメージ。
ここでは必ずしも武力で活躍した人物だけでなく、忠誠、信念、義、知謀などで活躍した人物達が紹介されています。
本書で紹介されている軍師たち
国の大小はあれど、治世者に必要なモノ(能力だけでなく金・人脈等も含む)はいくつもありますが、たった一人でそれを備える人物はそうそういないでしょう。
戦国の世では、武力だけに限らず、知略や戦略、行政能力や交渉力が必要とされます。
多くの戦国武将達も、天下を取った豊臣秀吉、徳川家康でさえも、彼らを支える「軍師」と呼ばれる存在がいました。
軍師たちの活躍は決して派手なものばかりではありませんが、その考え方や生き様は現代に通じるものが多々あります。
そんな主役よりは名脇役にフォーカスし、その教えを現代に示した書です。
名脇役といっても、登場するのは比較的有名な、以下の10人です。
- 黒田官兵衛
- 竹中半兵衛
- 小早川隆景
- 直江兼続
- 山本勘助
- 太原雪斎
- 片倉景綱
- 石田三成
- 本田正信
- 真田幸村
私は戦国レベルがまだ低いのですが、少しでも詳しい方は「メジャーな人ばかりじゃん」という感じですかね。
何人かをざっくり解説
黒田官兵衛
豊臣秀吉の軍師。元々は織田信長が天下を取ると確信し、仕えていた。
本能寺の変(織田信長の死)の第一報を受け、主君の秀吉に「運が回ってきましたな」と発言。
現在の岡山県・備中高松城の清水氏を水攻めにて陥落させた戦術が有名。
竹中半兵衛
豊臣秀吉の軍師。黒田官兵衛とあわせて両兵衛とも呼ばれたらしい。
裏切りの疑いのかかった黒田官兵衛の子どもを殺すよう命令を受けたが、命令に背いて子どもを殺さずかくまった。官兵衛の疑いが晴れたところで子どもを返したことで、
黒田官兵衛の忠誠心を失わずに、後の活躍が生まれることとなった。
「逆命利君」を是とし、たとえ命令に歯向かっても君主・国のために動いていた。
小早川隆景
毛利家の軍師。毛利元就の息子であり、有名な「三本の矢」エピソードの一人。
(ちなみに、毛利元就の三人の息子は毛利隆元、小早川隆景、吉川元春)
小早川家は毛利家の分家であり、そこを継いでいる。
「思案」という二文字を掲げており、深慮遠謀こそが必要だと考えていた。
石田三成
豊臣秀吉に仕えた人物。文人肌で、秀吉に重宝される一方、武功を重んじる諸大名からは反感も買っていた。
関ケ原の戦いでは、西軍の実質的な総大将となったが、最後は小早川秀秋の裏切りもあって敗北し、打ち首となった。
物資調達や内政に優れ、戦も行える人物として、近年では見直されている。
直江兼続
兜に「愛」ってのはどうかと思うよ。作るの大変そうだし。
こんな感じですかね。ざっくりとしたまとめですけど。
ビジネス云々よりも戦国エピソード集かな
ビジネスに結びつく部分もありますが、少し強引と言いますか、著者の解釈によるこじつけ感があるものも。
どこまでが史実で、どこからが作り話なのかなあという疑問も。
一方で、戦国大名や軍師たちのエピソードは数多く紹介されていますので、そういう時代背景や人間模様が好きな人には、入門書的な位置づけにもなると思います。
私も、ビジネス云々というよりも、戦国エピソード集として楽しく読めました。
竹中半兵衛の「逆命利君」の考え方が一番しっくりきましたね、本人が言ってたのかは分かりませんが。
今の職場は「逆命…」(命令に逆らう)の時点でばっさり斬り捨てられることになりますが、
自分が指導・経営者的立場になった場合には、「逆命利君」を実践できるような部下ほど重宝したいと思いました。
いつも逆命では困りますが、要はイエスマンだけじゃあ失敗することもあるってことですね。