G-log 日々思うこと

GOです。雑記ブログなので、散らかしています。日々思うことをつらつらと。ひとり旅もする。千葉県民・会社員・30代前半です。仲良くしてね。

【読書感想】王とサーカス(ネタバレと感想)

「王とサーカス」 米澤穂信

 

 

①このミステリーがすごい!2016年版(宝島社)

②週刊文春ミステリーベスト10(文藝春秋)

③ミステリが読みたい! 2016年版(早川書房)

 

この3つで1位をとり、つまりは三冠らしいです。

本屋で平積みされてると弱いので、久々にミステリーを読んでみる。

 

 

以下、多少のネタバレを含みます。

 

あらすじ

主人公の大刀洗万智(たちあらいまち)は、

フリーの記者として、取材の事前視察にネパールを訪れていた。

「トーキョーロッジ」と言う名のホテルに泊まり、サガルと言う名の現地の少年にガイドを頼みながら、ネパールを周る。

ホテルには、日本から来たお坊さんの八津田、インド人ビジネスマンのシュクマル、アメリカ人バックパッカーのロブらが滞在しており、それぞれと親しくなる大刀洗。

 

そんな折、突如としてネパールの王ビレンドラをはじめ、

王族らが次々と殺されたというニュースが国を揺らした。

大刀洗はジャーナリストとしての役割として、現地で取材を始める。

 

軍人であるラジェスワル准尉に取材をする機会を得た大刀洗。

事件の真相を尋ねる大刀洗に対し、ラジェスワルは事件については語らず「何のために取材をするのか?」と問う。

ラジェスワルの「王の死という悲劇をサーカスにするのは何故か?」という問いに答えられない大刀洗。

  

実際にあったネパール王族殺害事件

話を大きく動かすことになった「ネパール王族殺害事件」。

こんなことを書いてしまってネパール的に大丈夫か?と思ったら、実際にあった事件なんですね。

 

ネパール王族殺害事件 - Wikipedia

 

本書およびWikipediaの中身を読み解くと…

王による君主制から民主制へ移行したものの、未だ権威を持つ王族。

民主化に貢献した王として、名君とされていたビレンドラ国王。

しかし、2001年6月、ビレンドラ国王は襲撃され死亡。

王だけでなく、王族ら9名を殺害したのは、同じ王族のディペンドラ。

 

ディペンドラも直後、拳銃自殺を図る。

意識不明のまま国王に就任したが、3日後に死亡。

 

ビレンドラ国王の弟ギャネンドラは、当時地方外遊に出ており、現場にいた家族も軽傷のまま、王位を継いだ。

元々ギャネンドラは、ビレンドラと対立しており、疑惑は残るが真相は闇の中である。

 

名前が、ビレンドラ、ディペンドラ、ディレンドラ、ギャネンドラと分かりにくい…

それにしても、21世紀にもなってそんなクーデターみたいな事件が実際にあったんですね。

 

ジャーナリズムと当事者

王とサーカスというタイトルには、

「王が殺される悲劇」を、「メディアが我先にと伝え、サーカスのように盛り上げる」という構図への問いかけが込められています。

真実を知りたいと言えば聞こえはいいですが、当事者達にとっては、悲劇や恥、しがらみを広く周知されてしまうのは二次被害と言えなくもありません。

ただし、被害を知ってもらうことも重要ではありますが…

 

滅多に観ませんけど、ワイドショーなどは批判される最たるメディアですね。

殺人だろうが強盗だろうが、面白おかしく伝えることに終始しています。

また、芸能人の不倫なんて発覚すれば、それはそれで延々と。

当事者(不倫なら配偶者)からすれば、たまったもんじゃないですよね。

 

誰もがカメラ付きデバイスを持ち、SNSやブログで発信できる、1億総メディアと言われる時代。

バイトのTwitterで炎上⇒閉店なんて笑えない話もあるなかで、

発信することの責任と恐怖は、誰もが考えるべき課題でしょうね。

 

このブログは、意図しない嘘や間違いは書かないように努めていますが、責任と言われると困っちゃいますけどね。

 

感想:王族殺人事件とストーリーの関連性があまり…

そんなジャーナリズムがテーマのような作品ですが…

言い方はきついですが、長い割には薄っぺらいというのが印象です。

文庫としては分厚めな、450ページ近くあります。

 

小説はストーリー展開だけでなく、描写や表現も楽しむものと分かっていますが、

それでも「何このダラダラした感じ…」というのが率直な感想でした。

実際の事件である王族殺人の謎は(もちろんですが)一切触れられないまま、

王族殺人とは関係なく死んでいた准尉について、延々と述べられていく。

王族殺人事件の描写をバッサリと切ってしまって、

架空の話の方がもっと展開が面白かったような気がします。

 

ただ、殺人事件を面白がるというのは、悲劇をサーカスにすることにつながるので、

これは本書の主張に反してしまうかもしれませんね。

 

この男は、わたしのために殺されたのか?

帯に書かれていた「この男は、わたしのために殺されたのか?」というフレーズ。

このフレーズの奇妙さに興味を持ったのですが、大きな勘違いでした。

 

私の認識では、「この男は、わたし(を生かす、逃がす、守る)のために殺されたのか?」ということかなと読み進めていました。

しかし、中盤~後半にかけて「この男は、わたしのために=わたしのせいで殺されたのか?」という意味だったということに気が付きました。

最初の解釈で話が進んでいった方が面白かったような気がするなあ…

 

いろいろ受賞したからといって合うわけではない

というわけで、個人的にはそれほどオススメではありません。というお話。

ネパール文化に詳しければ面白いのか?

王族殺人事件を知っていれば面白いのか?

感性はそれぞれですので、違った感想を聞ければ幸いです。

 

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