直島その4。
今回は、島の東部に常設されているアートプロジェクト「家プロジェクト」を周ってきたときのお話。
- 直島の「家プロジェクト」とは?
- 6か所のアートハウスを巡る
- 家プロジェクトにはチケットが必要!先に買いましょう。
- 歩けるけど、自転車か電動バイクもあり。
- まずは南寺から周ろう
- 6か所それぞれの感想(ネタバレあり)
- 家プロジェクト、全部回った感想
直島の「家プロジェクト」とは?
直島の東部、本村地区(ほんむらちく)で行われている「家プロジェクト」。
上陸した宮浦港から、ほぼまっすぐ東に進むと、本村地区に着きます。
以下は、チケット兼パンフレットに書かれた紹介文です。
「家プロジェクト」は、直島・本村地区において展開するアートプロジェクトです。本村は戦国時代から現在に至るまで、島の政治的宗教的役割を担う地区であり、古い家屋には400年を超えるものもあります。ここに点在していた空き家を回収しアーティストが空間そのものを作品化しました。現在も生活が営まれる地域を歩きながら、歴史や文化、人々などとのさまざまな出会いをお楽しみください。
"Art House Project" is an art project underway in Naoshima's Honmura District. This are holds central political and religious role inthe island from the Warring States Period up to the present , and is home to houses which were built more than 400-years ago. (英語は面倒になったので略)
6か所のアートハウスを巡る
簡単に言えば、アーティストが空き家を使って芸術性を披露しているというものです。
「家プロジェクト」の名の元にあるアートハウスは、全部で6か所、本村地区に点在しています。
地区全体を美術館のようにし、街歩きをしながらアートを楽しむというものですね。
建物名とアーティスト名はこちら。
- 角屋/宮島達男
- 南寺/ジェームズ・タレル、安藤忠雄
- 護王神社/杉本博司
- 石橋/千住博 (ブリッジじゃないよ)
- 碁会所/須田悦弘
- はいしゃ/大竹伸朗(ルーザーじゃないよ)
その道では、有名な方々なのかどうかすら、私には判別つきませんが…
ちなみにジェームズ・タレルは、後で書く予定の「地中美術館」にも展示がありましたので、一応覚えておりました。
家プロジェクトにはチケットが必要!先に買いましょう。
まず第一に、家プロジェクトに参加するには、有料チケットが必要です。
「HONMURA LOUNGE&ARCHIVE」という事務所で購入しましょう。
値段は6か所周遊が1,030円、1か所単位であれば410円です。
普通は周遊の方を買うと思います。
こちらは、「碁会所」のすぐ近くにあります。お土産も少し取り扱ってます。
以下は改善してほしいところ。
まずチケットが必要なことがあまり明記されてないうえ、この販売所が目立ちません。
なのにチケットはここでしか買えず、つまり6か所のアートハウスでは買うことができません。
私もチケットが要ることを知らずに「碁会所」に入ろうとしたときに、チケットを見せてくれと言われ、ここに戻ることになりました。
碁会所とチケット売り場は徒歩1分くらいなので、まだいいのですが、他の施設で言われると結構戻るのも面倒です。
各アートハウスで買えるようにすれば、格段に便利になるのですが…
また日本人の私はともかく、外国人観光客がかなり多いのですが、「You need a ticket」くらいしか案内がなされず、How muchもWhere to buyもないので困惑している外国人も何回か見ました。
歩けるけど、自転車か電動バイクもあり。
チケットを購入すれば、晴れて周遊が開始できます。
セットの周遊チケットでは、6か所分の紹介が書かれています。
家プロジェクトの6軒を歩いて回ると、おおよそ移動だけで30分~1時間弱くらいです。
島周遊にもそうですが、自転車や電動バイクがあると効率的に周れます。
かなり狭い路地もあるので、軽自動車でも車は無理です。
電動バイクなら静かでスピードも遅いのでいいのですが、普通の原付は雰囲気的にはNGですね。
ただし、「石橋」だけは駐輪場がないので、自転車・バイクを停められません。歩いていきましょう。
地区内は細かい「アート」やお店もありますし、時間があれば徒歩での散策もいいでしょう。
普通の家の壁に見えるんですけどね。
なぜか黒電話。ここも何か展示しているのかもしれません。
こんな感じの家は、他にもいくつかありました。
唐突に盆栽も並んでいました。どなたかが管理しているのでしょう。
地区内には、カフェや飲食店も多く存在します。
「カフェ巡ろう」と思ったのですが、時間と混雑、そしてやっていない店もあったので諦めました。
面白そうなお店は多いんですけどね。
外国人観光客が多いので、英語のサインも多かったです。
混沌としたお店もありました。右奥から、どすこい感を感じる。
これは、町役場。行政規模が小さいから建物も小さいですが、良い感じの建物ですね。
まずは南寺から周ろう
話を家プロジェクトに戻します。
6か所ある展示場のうち、まずは「南寺」から周るのがお勧めです。
チケット売り場からは歩いて5分弱くらいですね。
なぜか南寺からか?と言えば、展示が18人くらいしか入れない&15分くらいかかるせいで、ここが一番混むんですよね。
混雑時には整理券が配られることがあるからです。
私は平日の昼間に行きましたが、整理券がないと入れませんでした。
14時頃に行ったのに、整理券は15時30分スタートのもの。
なので、先に整理券を貰っておいて、その後で他を周るのが良いと思います。(空いてればそのままで入ってもいいですが)
6か所それぞれの感想(ネタバレあり)
さてここからは、「家プロジェクト」の中身について触れていきたいと思います。
原則、建物内が写真撮影禁止であるため、文章のみの感想もありますのでご了承ください。
また、ネタバレといいますか、内容にも触れるので、「初見の感動が…」というような人は引き返してください。
護王神社
「家」ではなくこちらは神社ですが、家プロジェクトです。
路地の突き当りにあります。少し登り階段がありますが、まあそこまで大変でもなかったです。
こちらの展示は、この社とガラスの階段。
ガラスが積み重なって階段となっています。ちなみにここまでは無料で観られます。
しかし、ここはそれだけではありません。
チケットを使ってわき道から入っていくと、ものすごく狭い通路があります。
入ると薄暗くなるため、奥が見えず不気味な画像が撮れました。
20mくらい進むと、先ほどの階段の「内部」を見ることができます。
上から太陽の光が差し込み、ガラスの階段が光り輝いています。
帰りは、来た道を引き返します。
私程度の肩幅で両壁に擦ってしまうので、肥満体の人は入ることができないでしょう。
護王神社は、江戸時代から続く神社を杉本博司の設計により再建したものです。古い建築様式に基づく社殿と古墳を思わせる地下の石室が、ガラスの階段で結ばれています。古代より続く日本人の心性が、杉本独自の解釈も交え表現されています。
(チケットの解説より)
角屋
護王神社のすぐ下、数十秒の距離にあるのが「角屋」です。
ここは、道が狭いうえに、外国人が多過ぎて全景を取ることができませんでした。
部屋の中に「池」があり、その中には「デジタルタイマー」が大量に沈んでいます。
タイマーはそれぞれカウントダウン、カウントアップをしており、薄暗い水の底で多くのデジタル数字が点滅しているような光景です(伝わったかしら)。
まあ私にはあまり理解できず…
角屋は、築約200年の家屋を回収して作られました。島の方々の手で決められたスピードで動く125のデジタルカウンターを配置した(Sea of time'98)等の作品から、歴史や個人の中に流れる時間を感じることの出来る場となっています。
(チケットの解説より)
石橋
こちらも道幅が狭くて撮影が難しかったので、ポケモンGOのポケストップの画面をスクショしました。
ここの展示は、襖絵(ふすまえ)ですね。
分かりやすい動物とかではありませんでしたが…
蔵の中には、太陽光が綺麗に差し込む形での壁面アートもありました。
かつて製塩業を営んでいた石橋亭を、千住博の作品空間として再建。千住が瀬戸内の風景に触発され描いた襖絵を中心に、母屋と庭が一体となった「空の庭」と蔵の中で自然光のもと鑑賞する「ザ・フォールズ」とが公開されています。
(チケットの解説より)
碁会所
ここが一番微妙でしたね…
畳みのある和室に、椿の花が並べてあるだけ?
いや、落ち着いた雰囲気ですし、花が綺麗なのは分かるんですが…
これだけ?という印象でした。
はいしゃ
こちらは、外観からも「ああ、アートだな」というのが分かりやすいです。
元歯科医院兼居宅の建物だそうですね。
中は、何と言えばいいのだろう…
混とんとしておりました。自由の女神がいたことは覚えているのですが…
この辺は、歯医者とも自宅とも関係なさそうな看板ですので、後から付けたんですかね。
かつて歯科医院兼住居であった建物を、大竹伸朗がまるごと作品化しました。建物に廃船部品や鉄塔など様々なものを取り付け、壁や床にペインティングやコラージュを施すことで、「夢の記憶」を辿るプロセスを形にしようとしています。
(チケットの解説より)
南寺
最後は、一番混雑していた南寺。
寺と書いてありますが、外観は全く寺っぽくありません。名前は、かつて寺があった場所に由来しています。
こちらは、何も見えない真っ暗な中を進んでいく作品です。
注意事項として、手を使って壁伝いに進まないと、何も見えません。
観て楽しむアートというよりは、「空間」そのものを楽しむ作品。
あまり言葉で表現するものではありませんね。
惜しむらくは、同じく直島内にある「地中美術館」でここの作者のジェームズ・タレル氏の作品展示がありますが、そこと被っているんですよね…
南寺はかつてこの場所にあった寺の通称から名づけられました。安藤忠雄設計の木造建築内にあるジェームズ・タレルの作品は、暗闇の中で感覚が研ぎ澄まされ、次第に光が見えてくる体験そのものを作品化しています。※15分ごとの完全入れ替え制です。(最終入館は16:15まで)
(チケットの解説より)
家プロジェクト、全部回った感想
というわけで、トータル1時間30分ほどかけて(半分は南寺の待ち時間だけど)、無事に全6作品を観終わりました。これがスタンプ集まった様子。
アートというものが、私にはいまだによく分かりません。
写実的なものであれば、上手い下手は何となく理解できますが、特に抽象画、現代アートなどは難しい。
いまいち言葉で表現することができません。
ただ、何となくその作品の持つ雰囲気やイメージ、(間違っていても)メッセージなどを感じるがままに受け止めることが、楽しむコツなんだろうとようやくわかってきました。
学術的な楽しみや、歴史的、または金銭的な切り口など、アートの楽しみ方は何種類もありますが、私には「感覚的」な楽しみ方で十分かなあ。
なので、つまらん作品はつまらんですし、面白い作品は面白いでいいと思います。
それを踏まえて、今回の家プロジェクトの6作品を感情的・直感的に良かった順にすると…
南寺>護王神社>はいしゃ>角屋>石橋>碁会所 の順番かなあ。
そして直島ですが、ものすごく外国人が多いです。
スタッフの方に聞いたら、8割が外国人なので、日本人の方がレアです。
特に欧米人が多いらしく、他と違って中韓は少ないです。
なので、基本的にはそれほどうるさいということはありません。
ただ、欧米人にしては珍しく団体ツアーで来ているようで、20~30人が固まって動いていることもあります。
作品のほとんどがキャパが3~20人くらいなので、そこで待たされることはあるでしょうね。(護王神社は、すれ違えないので3人くらいで限界)。
とはいえ、四国のこんなところに、これだけの外国人観光客が来ているとは想定外でした。
インバウンド4,000万人時代とはいえ、これだけ観光客を取り込めてるところは少ないんじゃないでしょうかね。
2019年は。3年に一度の瀬戸内国際芸術祭が開催されますが、その間はどれほど混むのだろうか…?
島と島を結ぶフェリー・高速船の移動も、座席足りるのかしら。