「土 地球最後のナゾ ~100億人を養う土壌を求めて」 藤井一至
久しぶりにジャケ買いしました。
本屋さんでタイトルを見かけたときに、「そういや土について考えたことがない」とハッとさせられました。
土について、皆さんは考えたことがありますか?
本書の概要
藤井一至氏が、全世界の土を調査して回る記録&土に関する知識を得られる本。
日本はさておき、世界では人口増加が続いており、今世紀中には100億人に到達する予定です。
そうなると問題となるのが(他にもあるけど)、食糧問題です。
海洋資源もそうですが、農産物だって例外ではありません。
そこで氏は、その100億人を養うための土壌資源を探すため、土の研究に明け暮れています。
京都の裏山からスタートし、アラスカ、タイ、インドネシアなどなど。
土とは?
さて、土とは何でしょうか?
専門家によると、「土」とは「岩の分解したものと死んだ動植物が混ざったもの」だそうです。
つまり「岩」があって、それが風化等で細かくなると「砂」、そこに生命活動(死んでるのも含めて)が加わると「土」になるとのこと。
ちなみに岩にも様々な種類があり、ケイ素やアルミニウムや鉄、カルシウムなどの化合物です。玄武岩とか花崗岩とか。
私には、土と砂の区別も特についていませんでした。
土は12種類
土の種類って12種類しかないそうです。
その中で肥沃な土と呼ばれるのは、粘土と腐植のあるもの。
「粘土」は粘性のある土で、栄養と水分をキープできます。
「腐植」は死体を分解し、無数の微生物がいるもの。
今のご時世なら、理想的な土なら作れるんじゃないかと漠然と考えていましたが、化学構造が複雑すぎて解明できないみたいですね。
もちろん、植物工場では土を使わずに植物を製造できますが、コストは土よりも遥かにかかってしまうため、それで100億人を養うのは難しい。
土の種類でいうと、「チェルノーゼム」、「粘土集積土壌」、「ひび割れ粘土質土壌」というのが、肥沃な土だそうです。
日本も比較的肥沃な分類で、そもそも現在「先進国」とされている国のほとんどが肥沃な土壌も有しています。
やはり食い物、ひいては土は大事なんだなあ。
土の栄養⇒植物(⇒動物)⇒ぼく
土の栄養が植物の栄養素となり、たまに動物がそれを食べる経緯を挟んで、巡り巡って私の血肉となっているわけです。
そういうことも、まあ当たり前ですが普段認識していませんでした。
「大地讃頌」人の子らその立つ土に感謝せよ
中学校の卒業式では、大地讃頌を歌わされました。
よくよく考えると、全く卒業という感じはしませんね。
よっぽど「仰げば尊し」や盗んだバイクで走りだした方が、卒業っぽさがあります。
大地讃頌を歌うのは千葉県だけという噂も聞いたことがあるのですが、果たして皆さんのところではどうでしたか?
視野が広がった気がする
直接、土の知識が身についたかというと、記憶があいまいですが、「土に対して興味を持つ」という視点が持てたことが一番の収穫だと思います。
普段、目にしているのに深く考えていなかったこと。
そういうものも、世の中いくらでもあるんだろうなあ。
最近の流行りで言えば「ボーっと生きてんじゃねえよ!」ってことなんでしょうか。
昔、消しゴムについて考えて書いたことがありますが、学術的側面は乏しかったです。
まあ私は学者肌ではありませんが、何か身近なものをひたすら掘り下げるというのも面白いかもしれない。
そんなわけで、細かい内容は理解できていませんが、面白い本でした。