節分です。豆まきにも縁がありません。
千葉県民は福豆ではなくピーナッツを撒きます。
というウソも、恐らく去年も書いたような気がします。
昨年に続き、今年も恵方巻について思うこと。
恵方巻の歴史
恵方巻が関東にやってきたのはいつ頃でしょうか?
ネットで(適当に)調べると、おおよそ2000年頃から関東に輸入されてきたようです。
仕掛けたのは1989年頃に、セブンイレブンが初めて全国展開。
そもそも恵方巻という名称もセブンイレブンが付けたもので、丸かぶり寿司、巻き寿司などと呼ばれていたようです。
そこにコンビニ各社が乗っかり、今では関東でも多くの小売店で売られています。
更にさかのぼること関西では、諸説ありますが、Wikipediaによればこんな感じ。
上記の説は岩崎竹彦が、スーパーなどのチラシに書かれた説と、彼の調査が行われた1990年当時、大阪海苔問屋協同組合の事務局長の職に就いていた藤森秀夫からの聞き取りで得られた由来とをまとめたものである。
- 幕末から明治時代初頭に、大阪・船場で商売繁盛、無病息災、家内円満を願ったのが始まりで、一説には若い女性の好きな人と一緒になりたいという願望から広く普及したとする説。(すし組合のチラシより)
- 船場の色街で女性が階段の中段に立って、丸かじりして願い事をしたらかなったという故事にちなむとする説。(スーパーU社のチラシより)
- 節分のころは新しい香の物が漬かる時期で、江戸時代中期、香の物入りの巻き寿司を切らずに丸のまま恵方を向いて食べ、縁起をかついだ。これが、やがて節分に恵方を向いて、巻きずしを丸かぶりすると、その年の福がさずかるという招福の習わしになったとする説。(スーパーD社のチラシより)
- 船場の旦那衆が節分の日に、遊女に巻きずしを丸かぶりさせて、お大尽遊びをしていたことに端を発するという説(当時の大阪海苔問屋協同組合事務局・藤森秀夫からの聞き取り)
- 戦国時代の武将(堀尾吉晴といわれる) が、節分の日に丸かぶりして出陣したら戦に勝ったので、以後瑞祥としたことに端を発するとする説。(藤森秀夫からの聞き取り)
いろいろありますが、「花街・遊女・寿司屋・福」といったところがキーワードでしょうか。
恵方巻もコト消費
恵方巻は食べ物ですが、流行りの「コト消費」の商品のひとつと言えるでしょう。
コト消費とは、単なる物的欲求や所有欲を満たすモノ消費ではなく、何らかの体験を通じてユーザーの満足度を高める消費のこと(私の適当な定義)。
どちらかと言うと観光において、コト消費と言われますね。
さて、恵方巻ですが、そのまま食べるのでは単なる海苔巻きです。
が「その年の恵方を向いて黙って一気に食べる」というのが加わるだけで、コト消費要素が急激に高まります。
いわゆる「コト消費」は文化体験とかスポーツとかが想起されますが、恵方巻のただ食べるという行為だけでもコト消費、プチコト消費と言えるでしょう。
そこに「伝統文化」要素が加わると、かなり強力になります。
関西では伝統だったようですが、関東で節分と言えば「ちらし寿司」でしょう(うちだけかも?)。
しかし、そんなちらし寿司を上回る人気になっているように感じます。
さらに寿司屋・コンビニ・スーパー以外も参入しやすかったというのもあるでしょう。
もはや巻いてあれば何でもよく、ロールケーキなどが最たるもの。
ケーキ屋、お菓子屋、肉屋でも様々な形で便乗商品が出来上がり、盛り上がりを見せています。
フードロスと機会損失と恵方巻
とまあ、少し恵方巻を持ち上げましたが、フードロス問題があります。
恵方巻の現在の状況は、マーケットインというよりプロダクトアウトのような気がします。
マーケットインとは、ユーザーのニーズから商品を作り上げていくこと。
プロダクトアウトは、メーカーが技術や計画に応じて商品を作り上げていくこと。
完全に二分するのは難しいですが、どちらかと言うとプロダクトアウト、つまりメーカー(小売業含む)が売りたいから作っている状態になっているように思います。
現に、恵方巻が無くなって心底困る一般消費者がいるとは思えません。
そんな状況なのに、どんどん便乗商品が出来上がり市場側が過熱していった結果が、フードロス問題につながるのです。
1日しか食べないもの、まして賞味期限もほぼ1日のものを大量生産したら、そりゃ余ります。
しかし、一方で企業の宿命として「機会損失」を避けたいということもあります。
恵方巻を買う人が絶対予約するならば、完全受注生産にしていけばいいだけのこと。
しかし、(新聞か何かで見聞きしただけですが)恵方巻を買う人の多くが、その日に店で売っていたら買うというような思い付きで消費しているようです。
つまり企業側からすれば、需要喚起するため&「買えなかった」をなくすために大量生産するしかありません。
そして、毎年大量に余ってフードロス問題となるわけです。
しかし、一つの企業が「じゃあもう作らない!」となったところで、他の企業が作って売っていたら、その分の需要が持ってかれてしまいます。
つまり、売上をある程度犠牲にしても、みんなが横並びで「もう大量生産&大量廃棄はやめよう!」とならないと駄目でしょうね。
恵方巻のフードロスをなくすには?
我々消費者側ができる対応としては、恵方巻は敢えて買わないということでしょうか。
買わない⇒売れない⇒作らない としていくには、相当な不買が必要になります。
ただ、これは極論ですからね。
伝統文化的なものでもある以上、無理して不買に持っていくのも難しいですし。
現実的には既にやっていると思いますが、ロスをロスとして扱わず、うまく飼料や燃料にするしかないんでしょうね。
今年の恵方巻
褒めたりけなしたりしている恵方巻。
昨年の記事では「もう買わない」と書いていましたが、敢えて買ってみました。
もはやカツが入っているただの海苔巻きで、これも恵方巻と言えるのでしょうか。
とはいえ、具材を考えればカツ弁当を買うのと同じですし、食べやすくはあるので買ってみました。
期待していたのは酢飯だったのですが、普通の白米だったのががっかりでした。
来年こそは買わないぞ!