海外ドラマ紹介のコーナー。
今回はAmazonオリジナルの「UPLOAD(アップロード)」です。
邦題には「デジタルなあの世へようこそ」という副題がついています。
UPLOADの概要
舞台は2033年のアメリカ。
今(2020年)よりも技術は遥かに進んでいて、人々は手をかざすだけでディスプレイが現れ、誰とでもどことでも繋がれるようになった。
食事はフードプリンターでレシピを入れれば自動的に調理される。
VRが実装化されていて、視覚・聴覚だけでなく感触まで完璧に伝わるように。
そんな時代に、コーダーとして働いていたネイサンは自動運転の自動車事故で死亡。
死の直前、恋人のイングリッドによって「アップロード」されることとなり、新たな死後の世界「レイクビュー」でデジタルに生きることになった。
「アップロード」とは故人のデータをキャラクターのように再現すること。
脳を直接取り込んで(グロあり)、その人の全記憶をデータ化します。
そしてアバターのように、自分自身がそのアップロードの世界を行き、好きに動けるようになっています。
スイッチをひねれば、世界の四季を操ったり、手をかざせばモニターが現れ、生きている人間とも会話が可能。
ただし、アップロードの世界で何かするには、現実世界でお金が必要。
自分で稼ぐ人物もいれば、ネイサンのように生きているイングリッドが払ってくれている場合もある。
登場人物
ネイサン
コーダ―として働いていたが、自動運転の交通事故で死亡。
恋人のイングリッドによって脳がデータ化され、アップロードの世界で死後の生活を送ることになった。
本来あり得ないことだが、生前の記憶が一部欠損している。
ネイサンは高額なアップロードのサービスを無料化するサービスを開発していたが、投資家らにプレゼンしたものの、その事業の売却を拒否した経緯がある。
また何者かがネイサンの記憶(データ)を盗み出すという事件も起きている。
ノラ
現実世界で、死後の世界レイクビューを管理する技術者のひとり。
アップロードの世界ではエンジェルと呼ばれるが、現実ではホライズン社のSE・ユーザーサポート担当のような存在。
エンジェルたちはサラリーマンで、五つ星をもらえることに執着している。
病気で高齢の父親に、死後にアップロードの世界に行くように勧めている。
またネイサンに惚れ込み、ルール違反で本名を伝えている。
イングリッド
ネイサンの恋人。
ネイサンが事故に遭った時に、即座にアップロードの世界に送り込むことを決めた。
事業家の娘で、裕福な生活をしていて、アップロードの世界のネイサンの支払いは彼女の名義。
そのせいで、ネイサンはイングリッドの所有物のように感じている。
通信によって、ネイサンと会話することも可能である。
フラン・ブース
ネイサンのいとこ。
実は体育教師だが、パートで探偵をしている。
自動運転で事故が起きたことや、ネイサンがアップロードされたことを不審に思い、調査を始めた。
ネイサンは殺されたものとみなし、徐々に真相に近づいていく。
ルーク(死人)
アップロード世界でできた元兵士で、ネイサンの友人となった。
戦争で足を失って自殺したが、アップロードの世界を満喫している陽気な人。
デジタルな世界ならではの事情や裏技に精通していて、ネイサンを導くことも。
現実感のある非現実世界
全てがデジタル化されていて、何でもアリ。
部屋のボタンを押して外の景色を好きな風景に変えたり、施設を個人の好みに変えることも可能。
一方で、強烈な資本主義がこのアップロードの世界を作り出しています。
無料のプログラムもあるものの、食事や維持費は大量のお金が必要。
そして、レイクビューには「2GB」と言われる地下世界があり、そこに暮らす人もいます。
分かりやすく言えば、今の携帯会社の通信制限と同じです。
彼らは最低限の通信量(2GB)しか使えないため、食べ物もロクになく、娯楽も「無料お試し版」(本なら最初の数ページしか読めない)しかありません。
華やかなレイクビューの上層と比べ、アンダーグラウンドにはそのような底辺層が蔓延しています。
データなのでワンクリックで彼らにもっと良いサービスは提供できますが、レイクビューはビジネスライクに徹しています。
なかなか面白いドラマ
何でもありの超未来のような雰囲気もありつつ、速度制限など今の現実と変わらない部分もあるなどシュールな世界。
ただ、PCログや監視カメラなど、アップロード=人の脳のデータを全て管理しているのに、セキュリティが割とザル警備。
ノラはエンジェルとして振る舞うものの、現実世界では一人のユーザーサポート係に過ぎず、上司はうるさい。
そんな感じで、現実的でもありながら、非現実的な世界と行き来する作品です。
風刺的な部分もありますが、コメディ要素もあってそこまで暗い話にはなりません。
近未来・デジタル世界ということで発想が柔軟で、映像としてもなかなか面白い作品です。
現在はシーズン1・エピソード10まで公開されていますが、初回を除き30分なのでサクッとみられます。
シーズン1ではどちらかというと前フリばかりでしたので、シーズン2以降が物語の核心になってくるのでしょう。
続きがアップロードされるのが楽しみです。
アップロードの世界に行きたいか?
死んだ後に、記憶が完璧なままデジタルな世界に行きたいでしょうか?
それが当たり前になってくると、多少行きたいと思うかもしれませんが…
今現在は、技術的な不安や金銭的な負担は別にしても、あまり行きたいとは思えません。
何でもアリで楽しいかもしれませんが、死は死としてちゃんと体験したいですし、快適とはいえ「永遠に生きる」となったらその不安がありそう。
生きているまま、こんな感じのデジタルVR世界に飛び込む機会(機械)があったら、一度くらいは試してみたいですけどね。