前回までのあらすじ。
ちくわと化したアントワネット。
マンハッタンは既に火の海になっていたが、そこへ現れたのは今さらゲッターロボだった。
一方その頃、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけていた。
おばあさんが川岸で洗濯物を洗っていると、川上からどんぶらぶらこと大きな桃が流れてきたのだが…
あたいの名前はウメ。
今じゃ老いて「おばあさん」なんて呼ばれるけど、昔はやんちゃしたものさ。
東北の山奥で育ったあたいが、初めて東京にいったのは19のとき。
あの頃は毎日が退屈で、何か刺激を求めていたんだ。
いつもみたいに田舎のおやじとおふくろに嫌気が差したんだけど、その日は勢いに任せて夜行バスに飛び乗っちまった。
バスでうとうとして気が付いたら、早朝の東京に投げ出されてた。
ちゃんと準備をしてきたら良かったんだけど、あたいはほとんど着の身着のまま来ちまった。
初めて見るコンクリートの街並み。
山と田んぼの景色しか知らなかったあたいには、外国に来たのかと思ったね。
あたいは面食らって、ただ茫然と立ち尽くすことしかできなかったよ。
タクミと会ったのはその時が初めてだった。
「おのぼりの田舎娘をちょっとからかってやろう」と思ったんだって。
あたい自身も、あの時のあたいはチョロかっただろうと思うよ。
だけど、いきなりの大都会のビルのジャングルに迷い込んだあたいには、タクミは神様みたいだった。
そこからはジェットコースターみたいだった。
二人で無茶もして、ポリの厄介にもなったけど、今じゃまぶしい思い出ばかりさ。
いきなり出会って本気になって、いきなり付き合って、いきなり結婚して。
そんなだけど、おやじとおふくろにも、ちゃんとタクミと挨拶に行ったよ。
驚いてたしたっぷり怒られたけど、最後には泣いてくれたっけな。
結婚してからは、タクミも慣れないサラリーマンをやってくれたし、あたいもパートなんて始めたんだ。
お金はなかったけど、二人で暮らすってのも悪くないって思えたね。
そんなあたいが、今では川で洗濯。タクミは毎日、山で芝刈りさ。
東京にいた頃みたいな刺激はないし、ただただ過ぎていく毎日。
だけど…
年は取りたくないけど、こんな生活をあたいは望んでいたのかもね…
とっくに死んじまったおやじとおふくろも、そう思って暮らしてたのかな。
??
あれ、この話は何が書きたかったんだっけ?
確か検察審査会について書こうと思っていました。
前回が真面目な話だったので、多少は外した方がいいかと考えたんですが、とはいえ今さら桃太郎のスピンオフ(しかもお婆さん編)が書きたかったわけではなかったはず。
というわけで一応検察審査会ネタを言うと、前回書いた意見を聞かないオバサンがいなくなったので、多少は議論という余地が生まれました。
ただ、結局は大勢に影響を与えるものではなく、形式的だなあと感じています。
海外ドラマを見ると、「陪審員」がものすごくチカラを持っていて重要視されていますね。
日本でも、裁判員制度なら多少は違うのかもしれませんが、そっちの方がまだ真面目にやる気になりそうです。
まあお勤めももうちょいですし、お小遣いは貰えるので、最低限は真面目にやっていこうと思います。