「現代語訳 論語と算盤」 渋沢栄一 (守屋淳訳)
渋沢栄一といえば、2024年から1万円札になる実業家。
しかし名前程度しか知らなかったので、教養の一環として読んでみることにしました。
ちなみに書物として書かれたのではなく、講演録だそうです。それすら知らなかった。
渋沢栄一関連企業
- JR
- 帝国ホテル
- 日本銀行
- 王子製紙
- 東京海上火災
- 清水建設
など、超有名企業も含めて481社の設立に関わったそうです。
恥ずかしながら、名前と顔くらいしかよく知らなかったので読んでみたんですが、ここを知っただけでも良かったです。
論語と算盤、士魂商才
ものすごくおおざっぱに言えば、「モラルと社会貢献意識を持って経営・ビジネスしろ」ということです。
論語(精神論)と算盤(ビジネス、銭勘定)を一致させる、武士の魂・気概とビジネスの才能を持って世の中に貢献しようという考え方です。
ただいわゆる綺麗ごとだけではありません。
例えば、後輩に厳しく怒り散らし粗さがしをするような先輩と、いつでも先輩を守ってくれる優しい先輩についての論。
しかし、渋沢栄一は、前者のような先輩も、後輩の奮発心を養うためには必要ではないかと説いています。
その粗さがしが本質的に必要かによって、今ではパワハラと言われるでしょう。
しかし、もう少し広い目線で必要か否かを考えると、頭ごなしの否定は確かに良くないのかもしれないですね。
中庸・中立さ
上の例でもそうですが、孔子及び渋沢栄一は中庸さを大事と説いています。。
例えば「円満」というと非常に聞こえがいい言葉であり、性格に関して言う場合、誉め言葉として使われます。
対極の言葉としては「好戦的」でしょうか。
ただ一方で、円満も度が過ぎるとコロコロと転がっていくばかりで、争いを避けるあまりに自分や大義を見失ってしまうことにつながりかねません。
私の場合、20代のころは心が死んでいたので、どちらかというと「実」を取る合理主義でした。
最近はどちらかというと「情」寄り。ただ感情は確かに起伏が大きく、それにばかり寄り添うのも危険。
偏らないようにというのは、常に広い視野がないと難しい。
偏った思想の方が、ある意味楽は楽で、中庸を貫く(そもそも偏らないように思考の幅を持つ)というのは一番困難な気もしますが、それでもそうすべきというのが孔子の教えなんでしょう。
感想まとめ
読んでいて結構参考になったなあと思ったのですが、この場合は渋沢栄一が凄いのか、孔子(論語)が凄いのか?
両方すげーでいいですかね。
頭の悪い感想で終わり。
それもどうかと思うので少し書くと。
実業家として大成してからの渋沢栄一の講演であるため、考え方が余裕のある内容になっています。
毎日、日銭に追われるようなサラリーマンにこのような視点を持ち、かつ実践することは難しい場面も多々あるかと思います。
渋沢栄一がどのように実業を成していったかの本があれば、そっちも読んでみたいですね。
そういえば、渋沢栄一に会ったことがありました。