珍しく、お金以外のことで考えたこと。
視覚障害の方を見かけた
私が「17時終わりなのでそのまま直帰します」と嘘をついて、客先から自宅に向かっていた15時頃、前方の歩道上で白状を持った視覚障害の方がうろうろしているのを見かけました。
荒んでいるときの私だったら、軽やかなフットワークでスススッと躱してしまったでしょうが、まあたまには善行を積もうと思いました。
こんな事で善人アピールかよと私の脳内に悪い声が響いていますが、ほとんど人と関わらない私が、率先して声をかけただけでも成長したと言えるのです。
問題は、それが35歳にもなってわざわざ言うことでもないというだけです。
さておき、その視覚障害の方に「きゃないへるぷゆー?」と話を聞くと、「〇〇という店に行きたい」といいます。
スマホで調べてみると、歩いて10分くらい、そして私が向かう方向にありましたので、じゃあ一緒に行きましょうと連れ立っていきました。
視覚障害の方を先導するのは初めてだったので、イマイチ勝手が分からないんですよね。
基本的には平たんな歩道を真っすぐ歩くだけだったので、雑談でもしながら。
というのも、会話してないと私の存在が認識されないのでは?という不安があったためです。
本来ならば、肩に捕まってもらうor私が引っ張るという手段もあったのですが、コロナ禍ですし、性別が違うのでいろいろ面倒そうだし、ということで極力触れないようにしました。
多少の段差や駅構内(=人混み)を通り抜けながら、私一人ならば10分もかからない道のりを、15分ほどかけて到着。
ケガ等させることなく無事に送り届けたので良かったです。
プレッシャーがある
ここまでが前段。
無事に着いて良かったということではありますが、こちら側も変な誘導をしないようにというプレッシャーが多少ありましたし、苦手な雑談で存在感をアピールしなければいけなかったというのもありました。
(ただ、顔が見えないと雑談しやすいというのはあるかもしれません)
後者の雑談の方は、向こうは別に望んでいなかったのかもしれませんが、私が単に付き合い方が分からなかっただけです。
今回は時間にも心にも余裕があり、自分の知っている道だったので良かったですが、それほど詳しくない街や急いでいるとき、荒んでいるときなどは、無視せざるを得ません。
そうなると、彼女はもうしばらく一人で彷徨っていたかもしれません。
街をデザインし直すのは難しい
視覚障害の方が簡単に移動できるようにするにはどうしたらいいんですかね?
一番いいのは、「サイバーアイ」的なもので脳内に直接映像が送り込めるようになるか、iPS細胞で視覚が回復できるようになるかの2択です。
それが実装されるのはあと何年かかかりそうですので、街をデザインするという視点でいうと。
まず段差はかなり厄介です。
歩道の縁石から、ちょっとした小石、坂道など、けっこう段々があります。
地面もアスファルト、土、草、レンガ、未舗装など様々(今回は比較的都心だったのでまだマシでしたが)
そして方向感覚。
今回のお連れした方も、駅の反対口に出てそのまま進んでしまい、結局着かずに途方に暮れていたとのことでした。
その他細かい課題も含めて、街を丸ごとデザインし直すのは、金と時間的にほぼ不可能でしょう。
視覚だけではなく、車いすや聴覚などの問題もありますし、完全なユニバーサルデザインは無理。
もしかすると、トヨタが作っている新しい街・Woven Cityにはそういう機能があるかもしれませんが…
自動運転技術
こうした問題を解決するには、今の技術では盲導犬などになりますが、自動運転技術が更に進化していけば、視覚障害の方向けのナビシステムなどに転移できるような気がします。
自動運転も障害物検知がメインですが、視覚障害の方が車ほどのスピードで歩くことはたぶんないので、より検知しやすいんじゃないかなあと素人目には思います。
標識も認識するわけですから、逆に言えば看板も認識できるはず。
それ以外には、街の至る所にビーコンでも置いて、視覚障害の方がスマホを持ち歩き、ビーコンの情報を読み上げてくれるといった機能があれば、何とかなるのかも?と思いましたが、あれを設置・管理するのって結構大変みたいですね。
電池は数か月持つようですが、ビーコン電波の届く範囲も対したことないでしょうし。
という、既に考えられていそうなことではありますが、そんなことを思いました。
とりあえず、技術が追いつくまでは、みんな仲良くしようね。