映画「男はつらいよ」の名前は知っていますが、全く見たことがありませんでした。
葛飾柴又には寅さん記念館まで建てられるほど、愛され惜しまれた作品。
それに対して、怒られるのかもしれませんが、初めて「現代の感覚で」観ると、寅さんは怖いなあと思いまして。
男はつらいよ の概要
舞台は1968年頃の日本(作品が1960年代なので現代劇)。
元号で言えば昭和43年、昭和の中期ですね。
親父と喧嘩して家を飛び出した、車寅次郎。
転々とテキ屋稼業で稼いでいたが、18年振りに故郷である葛飾柴又に帰ってくる。
当時5歳だった妹のさくら以外の家族はみな死んでしまったが、さくらの面倒を見ていたおじさん・おばさんはご存命。
最初こそ礼儀正しく「ご無沙汰のお詫びと御礼を申し上げます」と正座で頭を下げる寅次郎。
しかし、すぐに舎弟をおじの家に住まわせたり、さくらの見舞いに同席して下ネタ・マナー違反を連発して破談にしたり、揚げ句には
と、思いきや自由に生きてきたので、マナーなどはあまり知らず、ホテルのレストランでも失敗ばかり。
しかし、最後はさくらの結婚を祝福し、涙をこぼす。
そして失恋も経験した寅次郎は、葛飾の家を再び出て旅に出て行った。
お節介で不器用にも限度が
肯定的に寅さんを評価すると、真っすぐで熱血漢で、妹思いだけど少し不器用。
まあそういう風な評価をすることもできるでしょう。
そういう人は嫌いではないんですけど、その不器用部分というか、マイナス部分が今の感覚だと強すぎました。
テキヤ(ガマの油売りみたいな口上で、適当な商品を話術で売りつける)として過ごしていたので、口は異常に達者。
そして口だけ達者だけど、理屈が通じず暴力も厭わないタイプなので、正直完全にヤバイタイプの人にしか見えませんでした。
妹も早々に頬を引っぱたいてましたし、妹が20年近く世話になったおじ・おばにも、逆ギレしてジジイ・ババア呼ばわりで殴り合いにも発展。
逆に何で、妹にだけあんなに優しいのか分からないくらいでした。
映画ですし、昭和中期の価値観というのはよく分からないのですが、決して万人に愛されるタイプでは決してないかなあという感じです。
そんな人が、ふらふらと急に出て行ったり、逆に数日で戻ってきたり、戻ってくればまた大騒ぎと、決して親戚にはいてほしくない感じでした。
その他感想
ネットフリックスで見たのですが、デジタルリマスターでもされているようで、映像が現代並みに綺麗になっていました。
また、音声も抽出して入れ直している?ようで、セリフもかなりクリアでした。
日本映画にありがちな、「音量がバラバラで聞こえないしうるさいし」ということもありませんでした。
(そのせいか、少し口と声が合っていないところもありましたが)
なかなか凄い技術ですね。今ならAIでできちゃうんでしょうか?
あとは、原付がノーヘルメットで走ってるんですよね。
当時はそれで良かったんですかね。
時代を知る意味ではいいのかもしれませんが、ちょっと馴染めないかなあという感じです。
舞台となる場所的にも近い「こち亀の両さん」も冷静に考えると拳銃はぶっ放すし、殴る蹴る、盗みもやるという破天荒なキャラですが、漫画と実写だと許容範囲も異なりますね。
「寅さんはみんなから愛される」という雰囲気じゃなくて、両さんくらい「周りから結構嫌われている」くらいなら、リアルだったかなあと少し思いました。
という、後ろ向きな感想で、ファンの方には申し訳ないことでござんす。