最近は再び映画を観るようにしております…と言いながらも、今月は3本くらいしか観てませんが。
今回観たのは、「ミッドサマー」というホラー映画です。
【公式HP】
なお、ネタバレを含みます。
冒頭のあらすじ
主人公のダニーは、離れて暮らす妹と両親を事件で一気に失ってしまう。
そんな失意の中、彼氏であるクリスチャンは、人類民俗学の研究と観光のため、友人の一人であるペレの故郷のスウェーデンの奥地にあるホルガというコミュニティの「90年に一度」の夏至祭に参加することに。
クリスチャン、ペレ、マーク、ジョシュの4人は飛行機と車を乗り継いで、その集落へとたどり着く。
夏至のスウェーデンは、白夜が続いて常に太陽が出続けている。
住民たちは、全員白い衣装を身にまとい、仲も良さそうでフレンドリー。
辺りは外界からは隔絶されているものの、緑に覆われた穏やかな世界。
しかし、お祭りが始まると徐々にその空気は変わっていく。
二人の老人が祭り上げられたと思いきや、崖へと運ばれて、最後は自ら身を投げる。
ひとりは即死、もう一人は足の骨折となったものの、下で待機していた住民が代わる代わる、ハンマーでとどめを刺します。
それを目撃したクリスチャン、マーク、ジョシュ、ダニーや、他の住民がダニーたちのように外から連れてきたコニー、サイモンらは、目の前で行われた自殺と殺人に混乱する。
そして祭りは更に不穏さを増しながら続いていきます。
その後のストーリーについて(ネタバレ)
その後のストーリーについて、ざっと。
コニーとサイモンのカップルは、いつの間にか失踪します。
女好きのマークは、集落の女性に誘われた後、どこかへ消えてしまいました。
研究熱心なジョシュは、集落に伝わる聖書を盗撮しているところを、謎の人物にハンマーで殴打され、後に花壇から彼の足だけが埋まっているところが発見されます。
クリスチャンは、更に過酷な運命が待ち受けます。
まずこの集落が、近親相姦などを避けるために、外部からの血を受け入れていて、その対象に選ばれます。
マヤという少女に、儀式的に陰毛入りの料理や経血入りの飲み物を飲まされ、最後は薬をかがされて強制的に性交します。
その性交も儀式であり、マヤ以外に13人の裸の女性が周囲を取り囲み、歌い踊りながら行われました。
更に、
その後は全身麻酔で意識だけある状態で、中身をくりぬいた「熊」の中に入れられてしまいます。
この祭りは、9人の犠牲が必要です。
生死は問わず9人を小屋に入れ、火を放ちます。
9人のうち、外部の人から4人、集落から4人が選ばれます。
上記のコニー、サイモン、マーク、ジョシュは、集落の儀式に必要な「外部の4人の犠牲」として数えられています。
また、集落側の犠牲も4人必要であり、飛び降りた2名に加えて、二人の若者が立候補しました。
これで8人、犠牲はあと1人必要です。
その1人は、外部の人か集落の人か、その祭りの「クイーン」が選ぶ習わしです。
今回の祭りでは、ダンスバトルを制してクイーンになったのはダニーでした。
集落の人間か、恋人のクリスチャンか、ダニーが選んだのは…
感想
ホラー作品としては非常に有名な作品みたいですね。
外界から隔絶され我々の常識からは異常な習慣が数多く残り、更には白夜下という特殊条件でのホラーと言うのは独特でした。
その他の異常な習慣で言えば…
- 性交は長老の許可が必要であり、相手もマッチングされる
- 敢えて近親相姦させて障害者を生ませる⇒障害者は純粋なので、聖書を書かせる
- ただし、聖書はそれだけでは意味をなさないので長老が解釈する
そんな感じです。
テーマとしては「ホラー」があるんですが、「家族」というのもありそうです。
唯一の集落出身者のペレは、「家族」と言う言葉を多用します。
一方で、ダニーは家族を失って絶望した状態です。
また、クイーンとしての儀式中にクリスチャンの性交現場も見てしまい、さらなる悲しみに共感してくれたのは、お付きの女性たちでした。
そんなわけで、ダニーはこのコミュニティを家族とみなしたのでしょう。
全くの他人だった集落の人間ではなく、クリスチャンを最後の犠牲者に選び、友人達の遺体が燃やされる様子を見ながら、ほぼ初めての最高の笑顔を見せ、映画は終わります。
ペレは、折に触れてダニーに接近しており、恋心もあったのかもしれません。
また、犠牲者の選出の際に、長老から「よくぞ外部の血といけにえを連れてきた」のように褒められています。
ジョシュも殺害したのではないかと思われ、一番の黒幕と言えるかもしれません。
ただホルガは現代の価値観とそぐわないだけで、「そういうコミュニティ」ということなだけのようです。
飛び降りた2名も72歳という人生の春夏秋冬を終えたために命を捧げ、次の赤子として生まれ変わるとされていて、喜んで身を投げたとされています。
黒幕と言う言葉を使いましたが、彼らの中には善悪という概念ではなく、風習や文化の違いというのは、突き詰めると法や常識が通じないのかもしれませんね。
だからこそ、法や国際ルールが必要なんでしょうが…
ホルガの住民は葛藤しているわけではありませんが、一般の法律とは全く合わない風習ばかり。
私の今の価値観は、日本の法規には概ね合っているので、その辺りの「個人と社会(外部)との差」みたいな葛藤は今のところ無さそうです。
ただ、ポリコレとかハラスメントとか、徐々に私もついていけなくなるのかもしれません。
感想おまけ
本作は2時間30分という長時間映画でした。
また、秋晴れの爽やかな休日の朝5時から観るにしては、グロテスクなシーンがてんこもりです。
クリスチャンの全裸で、男性器が丸出しでしたが、R15ならいいんでしたっけ?