「ホモ・デウス テクノロジーとサイエンスの未来(上)」 ユヴァル・ノア・ハラリ著
著者の作品・サピエンス全史が登場したのが2016年。
当時も本屋に平積みされて、一世を風靡していたように思います。
ただ新作が出ているのに旧作から読むのもなあと思い、先にこちらを読むことにしました。
本書はオーディブルによって、読書というより視聴しました。
普通に買うと2000円くらいですが、月額1500円(当初半額)でオーディオブックが手に入るなら…というセコイ計算で買いました。
概要(冒頭)
人類の大きな敵は、戦争・疫病・飢饉とされています。
このうち、日本で今現在直面しているのは疫病ですが、過去の疫病、例えばスペイン風邪や天然痘等に比べれば、深刻度合いは非常に軽微です。
歴史から学んだ部分もありますし、医学の進展も関係あるでしょう。
また情報伝達技術が圧倒的に高速化したことも影響します。
飢饉・戦争も少なくとも私の身の回りでは縁のない話になっていますし、同じような状況の人は少なくないでしょう。
そうなると、人類が次に求めるのが神になることという話(ホモ・デウス)です。
神の定義が難しいですが、現実的には不老不死に近い長寿命化や、遺伝子操作による能力向上が最も身近な話になりそうです。
ただし、人間が神のような存在になった場合、全ての人間がある日突然そうなるわけではありません。
そこで本書では、神のようになった新人類と我々のような旧人類がどのような関係になるかを考える上で、動物との関係から紐解いていくこととしています。
動物と人の命
動物の命と人の命を比べると、多くの人にとっては人の命になるでしょう。
かといって、神聖性や本質的な価値が何か異なるのでしょうか?
それこそが、動物に対して人間は神に近い存在であるという証左になります。
動物の方が命が軽いのは、「魂の存在」が議論されているようですが…
この辺りは科学的根拠も示せませんし、価値観が分かれるところですね。
人と動物の比較でも、凶悪な犯罪者とかわいいペットだったら、後者が大事という人がほとんどでしょう。
状況によって全く価値観も入れ替わるので、明確な答えはないことでしょう。
いずれにしても、多くの動物にとって人間は生殺与奪を持ち、神のように振る舞えます。
そして新たな能力を持った新人類たちは、旧人類を今の動物たちのように支配するのでしょうか?
少なくとも、今の家畜に対するような圧倒的支配関係は持てないことでしょう。
逆に言えば、そこまで圧倒的支配関係が持てるのであれば、肉体的な強さも今の人類を遥かに凌駕しないといけないでしょうし、私が生きている間は起きないんじゃないかと思います。
不老不死と長寿命化と
定期的なメンテナンス(臓器の入れ替え等)をすれば、不老不死は無理でも長寿命化は可能になるとされます。
まずはお金持ちからやってくのでしょうね。
イメージですが、イーロン・マスク氏辺りがやってくれそう。
個人的には、長寿命化はどんどん研究してもらっていいと思っています。
「人間が神の領域に~」みたいな話がたまにありますが、神も人間が作りだしたものですし、「自然と人間」は対立軸ではなく、「人間活動も内包するのが自然」だと考えているからです。
逆に能力を大幅UPみたいなのはやめて欲しいですね。
ただでさえデジタルネイティブ達にはこれからどんどん突き上げられていくのに、更に根本の身体能力等からして違うのであれば、GUNDAMの世界(ニュータイプやコーディネーター)のような感じになりそうです。
まあ私が短命で終わればそれで済む話です。
長生きしたいとも思っていないので、長生きしたい方々にいろいろ考えてもらいましょう。