「店長がバカすぎて」 早見和真
概要
谷原京子は小さな書店「武蔵野書店」に派遣で勤める書店員。
いつも山本店長がバカすぎると憤りながらも、本と書店が好きで働いている。
それ以外にも、社長や小説家、出版社など様々なストレスを受けながらも、辞める一歩手前で働き続ける谷原。
そんな店長らと、ある小説家のサイン会を行う羽目になるのだが…
感想
もっとも率直な感想を言えば「書店員の愚痴」を聞かされている感じでした。
主人公による、店長、客、同僚、父親、小説家など様々な相手への文句で大半が構成されていた印象です。
主観で語られる文体なので一方的であり、他の人物が何をどこまで考えているかは掘り下げられていないせいもあったのでしょう。
そんなわけでストーリーはそれほど進展がなく、逆に言えば説明しづらいですね。
小説に出てくる本屋って、素敵な職場になっていますよね。
この小説でも節々に問題はあって、主人公はそれに悩み、怒りとしているのですが、何となく「書店って素晴らしい」という方向性は絶対に崩れないように思います。
余談ですが、私も半年程度のアルバイトですが、書店員だったことがあります。
大手でしたが、本に対する熱血漢はそれほどいませんでしたね。
お客さんからの問い合わせで多かったのは「今日の新聞に載ってた本」かな。
朝会などで「今日は〇〇新聞にXXXが載ったので、問い合わせがあったらご案内してください」というのがけっこうあったように記憶しています。
いろいろと悪いところも書きましたが、エンタメ小説としてそこそこ楽しめたと思います。
読みづらいところもないですし、大団円的に終わりますしね。
でも同じ早見和真氏なら、真逆の方向性ですが「イノセント・デイズ」の方が好きです。
自分のところのトップ
私の立場で言えば店長ではなく社長がトップになります。
うちの社長は頭が良すぎるので、逆に話が合わないことがあります。
ただパソコン関連だけは私の方が勝っているので、社長からすれば聞きたくないのに私に聞かなければ分からないことが時々出てきます。
まあある一面でバカだなあと思っても、それだけで判断してはいけないですよねって話です。逆も然り。
カリスマ書店員?
書店モノ作品は何度か読んだことがありますが、だいたいスーパー店員みたいな人が多いですね。
この作品にあるように「本の帯界のカリスマ」みたいな書店員はいるんでしょうか?
この本の帯(文庫)には
自分の人生に真剣に向き合うことが出来る本だと思う。なんでこう、本気で辞めようと思うときにこういう本が出てくるのだろう・・・また辞め損なった!早見和真氏恐るべし。
丸善 さんすて岡山店 山本千紘さん
(帯より)
と書かれています。
同僚の方がこれを見てどう思うか分かりませんが…
この「丸善 山本千紘」で調べると、一応以下のような記事が出てきます。
こういう方を称して、カリスマ書店員というのでしょうか?