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【読書感想】「存在の耐えられない軽さ」。恋愛と哲学を併せた時代小説。

「存在の耐えられない軽さ」 ミラン・クンデラ 著(千野栄一 訳)

 

タイトルはどこかで聞いたことがありました。

 

 

内容は、私にとって非常に難しかったので、理解できていない部分が多々あります。

 

あらすじ

※あまり理解できていない部分があるので、間違った解釈しているかもしれません。

 

主人公のトマシュは腕のいい外科医だったが、女性に対しては手が早く、一夜限りの関係を結ぶことも多かった。

そんな時、テレザという女性と知り合った。いつも通り一夜だけのはずが、彼女は遠方から突然彼の家に流れ込んできた。

そしてトマシュもそんな彼女を受け入れ、次第に惹かれるようにもなっていった。

しかし、トマシュは生来の気質から、一人の女性に惹かれることに重さを感じ、一方のテレザも彼の浮気癖に耐えられなくなった。

結果、彼らは結婚生活を取りやめ、お互い距離を取って一時の解放感にひたった。

 

その後、政治的変動(プラハの春)が起きた。

トマシュは愛人サビナのいるところか、テレザのいるプラハに戻るかを迫られ、最後にはテレザと再び会うことを選んだ。

その後、政治的に追い詰められたトマシュは田舎に引っ込んだが、二人はそこで穏やかな日々を過ごした。

 

プラハの春

私に教養がないため、あまり知らないんですよね。

トマシュは新聞に政治的な意見を書いて秘密警察に追われ、失脚してしまいました。

そして名医師の立場を捨て、単なる窓掃除屋として働くことになりました。

つまりは政治批判は一切許されず、見つかれば有罪となるような状態だったわけですね。

物心ついたころにはソ連は崩壊してましたし、ベルリンの壁も壊れていました。

それ以前の歴史に詳しいわけではないですが、とりわけ近現代史は疎いのです。

 

感想まとめ

タイトルにもある通り、この本の主題は軽さと重さにあると思います。

本書の言葉を借りれば、光と闇や、暖かさと寒さなど極にあるものは、どちらかが良いものとされる場合がほとんどです。

しかし、軽さと重さの場合はどちらがいいのか、ものによって異なります。

更に言えば、例えば人生というものは軽いのか、重いのかということも難しいです。

何十億人も同時に生きている世の中での一人の人生と考えれば軽いかもしれませんし、唯一自己を持つ自分の人生と考えれば重いかもしれません。

 

トマシュは、テレザを自分の人生に重くのしかかるものと考えていました。

それがなくなって一時は解放感を得たものの、今度は軽くなりすぎたのかもしれません。

医師という立場にしても、彼は政治的に追い詰められて窓掃除(客観的に見て、医師から転職するには下とされる職)を始めますが、彼はその軽さには満足し、充実した生活を送っていたようでした。

テレザは逆に、彼に軽く扱われていて「耐えられない」と感じましたが、その後は「彼の人生を壊してしまったのでは?」と自分が重くなりすぎたと懸念していました。

しかし、トマシュはそれを良しとして、最期はお互いにダンスパーティで幸福をたたえ合いました。

その帰りに、トラックに轢かれ、二人は亡くなったそうです。

 

軽さと重さ、それぞれバランスが大事ですし、完全にコントロールするのは不可能です。結局幸福というのは最後まで分からないものなのかもしれませんね。

 

 

それにしても難解な本でした。

私に歴史的な知識が無いうえに、哲学的表現がいくつもちりばめられ、時系列もバラけているため、ストーリーもあっているやら…

読んでいて考えさせられるのですが、それを理解して、さらに人に説明するのは非常に難しい作品でした。

 

 

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