コレド室町・イマーシブミュージアムというところに行ってきました。
楽しんだ方には申し訳ないですが、率直な感想としては、良かったとは言い難いかなあ。
同行者は今でも行ったことを後悔して文句を言っています。
概要
イマーシブとは「没入感のあるさま」という意味だそうです。
なので、没入する美術館ということですね。
公式Twitterによるとこんな感じです。
印象派アートを、全身で浴びるように鑑賞するイマーシブミュージアム。
— Immersive museum / イマーシブ ミュージアム (@MuseumImmersive) July 8, 2022
史上最大級のモネの睡蓮を、身体中で観ることができます。#イマーシブミュージアム pic.twitter.com/FpYbxWSUcN
具体的に言えば、巨大モニターでモネなどの印象派作品をCG等も用いてグラフィカルに投影し、あたかもその世界に没入しているかのような体験ができる…らしいです。
私も答えのないアート鑑賞活動を続けているので、これはと思って行ってきました。
場所は東京 の日本橋・コレド室町の5階です。
オンラインで事前予約チケットも購入可能。
中の様子
予約時間になったので、中に入っていきます。
中に入ると、ひとつの大きな部屋に通されます。
大きなといっても、25m×15mの長方形くらいでしょうか。
小学校のプールくらいですかね。
この部屋のみであり、全ての展示はここで上映されます。
最初に入ったときの率直な感想は「人が多すぎ」でした。
そのため、次の展示でも先に見ようかと部屋を出てしまいましたが、そのまま進んだら出口にたどり着いたため、慌てて戻ってきました。
まさかワンフロアというか、ワンルームしかないとは。
部屋は長方形で、各壁に映像が投影されます。
プログラムは8つのシーンに分かれています。
最初はモネの絵から「日の出」。
画像は静止画ですが、時間経過などが映像として流れます。
その他、いわゆる美術展のように作品が投影・移動していくもの。
印象派の筆運びや色の調合を楽しめるもの。
アニメというかリアルなCG動画ですかね。
メインとなる睡蓮の絵のCG映像などが流れます。
そんな感じで、映像は断続的に動き続けていきます。
いくつかの不満点
不満点の1つを、文章だとすごく伝わりづらいので絵にしてみましたが、これまた伝わりづらいのですが、覚悟して読んでください。
まず、部屋の寸法と映像が合っていません。下のイメージ図をご覧ください。
例えば青・オレンジ・緑・黄色で、同じ映像を流しているのですが、部屋の寸法とあっていないせいで、切れ目が不自然な場所で発生します。
そのため、正面の青部分のスクリーンを見ていても、右の方でぶっつりと切れて、視界にはオレンジの左部分が見える…という感じで、視界のキリが悪いんですよね。
(正面を見ていると、オレンジの左端が目に入るので、(青の左端と)同じ映像が常に視界に入っている状態)
せっかく360度に映像が流れているのに、変なところで途切れると没入感ダウンです。
この角度の写真ならば、多少伝わるでしょうか?
この時は、左と右で違う映像だったかもしれませんが、それにしては座席が360度見渡しづらい構造でした。
そして繰り返しですが人が多すぎです。
部屋と座席の設置状況により、上の図で言うと、実質観るのに最適なのは青の部分のスクリーンです。
下の写真を見て分かる通り、全員がほぼフラットなところにいるので、どうやっても他人は目に入ります。
最初に部屋に入ったときに、「人多いな」と思ったとおり、常に視界に人がちょろちょろしているので、これも没入感ダウンです。
多少は仕方ないですけどね。
座席は、部屋の真ん中にヨギボーみたいなソファがいくつかと、部屋の隅っこにすのこが積まれている部分しかありません。
すのこに座っても「隙間にスマホ落としそう」としか思わなかったですかね。
また、床にも投影されているのですが、かえって邪魔でした。
最後に映像そのものについて。
まあそれなりにつまらなくはないのですが…
まず、時間指定チケットにもかかわらず、映像はループで流しているので、今どこなのかがよく分かりません。
入室した時点でやっているものからスタートなので、作品全体のコンセプト等が伝わりにくかったです(ないのかもしれませんが)。
このせいで、退出する人が常にうろつくことになり、没入感が失われます。
感想まとめ
今回は二人で行ったのですが、もう一人は「ちょっと作品への冒涜感も感じた」と言っていました。
色合いなどを勝手に変えて、作家が表現したかったものを壊したのではないかと。
私はそこまでは言いませんが…
何と言っても、一番の売りである「没入感」がほとんど感じられなかったんですよね。
- 360度スクリーンで囲っているにも関わらず、正面スクリーンに固定されるような座席
- 左右の短いスクリーンに横幅を揃えているせいで、正面の横長スクリーンがぶつ切り
- 人が多いのでどこを見ても他人が見える
- (私が怒られるのかもしれないけど)ベビーカーで1歳くらいの子を連れてきて、派手な映像と音楽で案の定ギャン泣き
などなど。
上野科学博物館の「360度シアター」の方が、よっぽど没入感が強かったかなと思います。あれは好き。
あとは、最大の問題かもしれないのが費用対効果ですね。
今回は2500円のチケット代ですが、作品は30分程度でループに入ります。
ヨギボー席だとしても、30分も座ってれば疲れそうなので、長さはむしろ短くてもいいのですが…
まさか1部屋しかないとは思っていなかったので拍子抜けしました。
これならいっそ、
- 正面だけにして、映画館のような段々の座席
- 時間をちゃんと決めて入替制で上映
の方が楽しめたかなと。
楽しかったら、↓こういうのも飲もうと思ったのですが、それほどでもなかったのでお土産類もスルー。
※このまめしばを使った「モネしば」も冒涜ではないかと言っていました。
だいぶ批判的に感想を書きましたが、経験として行くのはいいと思います。
モネの絵はモネの絵ですからね。
(フォローになってないかも)
おまけ
行った日も大変暑かったのですが、コレド室町1~3の間辺りは日陰でもあり、風も通り抜けるので、けっこう涼しかったですね。
水や緑に囲まれるのもいいですが、こういう都会の中での涼やかさも好きです。
美術館訪問の過去記事