「あの日、君は何をした」 まさきとしか 著
久々にミステリーを読みたくなったので読むなり。
ネタバレはほぼないです。
概要・あらすじ
2004年。
連続殺人犯の林が、宇都宮警察署から脱走。
警察は必死に犯人の行方を追うが、なかなか捕まらない。
ある日、目撃状況のあった前林市で、深夜2時に中学生・水野大樹が警察に尋問される。
大樹は林に間違われただけであったが、なぜか警察から自転車で逃走。
逃走中、トラックと激突して死亡してしまった。
突然の事故で息子を失った母・水野いづみはショックで立ち直れなくなってしまう。
そして2019年。
今度は新宿でひとりの若い女性が殺される事件があった。
同僚であり、不倫関係が噂される男も行方不明。
署内きっての変わり者である三ツ矢と、その部下の田所は、ギクシャクしながらも捜査を進めていく。
その過程で、15年前の前林市で起きた中学生の死亡事故との関連が見つかっていく。
感想まとめ
一見、全く別の事件ですが「そう繋げていくのね」という感じの作品です。
三ツ矢刑事が変人キャラで、いわゆる「天才万能(だけど変人)」みたいなテンプレキャラかと思いきや、もう少し人間味のある人で良かったです。
テンプレ的なキャラだと一気に話が薄くなる感じがしますからね。
タイトルにもあり、随所に散りばめられていますが、結局どんなに身近な人でも他人のことを完全に理解するのは無理なんだなあという話です。
長年ひとり暮らしをしていると、「誰のことも理解していないし、されていない」で別にいいと思えるのですが、なまじ結婚や子供がいると「配偶者のことは自分は分かっている」「わが子を理解できるのは自分だけ」という思い込みができてしまいそうです。
(それはそれでいいことなのだとも思いますが)
やはり他人は未知という前提で警戒した方が、生きやすいように思います。
私が殺人事件を犯した場合、周りの人がインタビューされるとなんて答えるのでしょう?
「やっぱり」なのか、「あの人が…」なのか。
殺人は極端としても、窃盗や暴力、露出などは…?
まあ万が一、その手の犯罪を犯してしまったら、何と言われようとどうでもよくなりそうですね。
今回は15年前と現在という対比が描かれています。
今から15年前というと、2007年。
大学生活を満喫…と言いたいところですが、大学内に1人も友達がいなかったので、大学自体の記憶はほぼありません。
大学4年生の7月というと、就活も終えて本屋でバイトしてたころかなあ…
あれはあれでいい経験でした。
ミステリーについて
最近、ミステリー小説を読んでいませんでした。
小説を読むとしても、どちらかと言うとヒューマンとかハートフル寄りでした。
が、その手のジャンルは、共感力の低い私には最終的にピンとこないことがほとんどなんですよね。
単に活字が読みたい、もしくは気持ちを安定させて読みたいときにはいいのですが、刺激が欲しいときにはパンチが弱い。
それで久しぶりに、ミステリーを選んでみたわけです。
久しぶりに読むと楽しく(作品にも寄ると思いますが)、先が気になってすらすらと読めました。
これからしばらくはそっち方向もありかなあ。