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【読書感想】「名称未設定ファイル」。短編集との再戦。

「名称未設定ファイル」 品田 遊 著

 

表紙がカラフルで以前から気になってはいたので、今回手に取ってみました。

品田遊さんというのも初めて読む作家さんです。

なお、私はオムニバスな短編集は苦手ですが、一人の作家の短編集は大丈夫のようです。

 

 

概要

この作品は、17個の短編集でできています。

17の作品に共通するテーマに「デジタル」があるらしく、SNSでバズった話とか、「この商品を買った人は」というような作品があります。

文体も通常の文語調だけでなく、書簡形式(といってもメールやネット掲示板風)のもの、チャット式のものなど、かなり自由で、そういった見た目上のデザインも含めた作品です。

20~30ページあるものもあれば、4ページで終わる作品もいくつか。

なお、Audibleなど音声でも聞けるようですが、そういう意味では印刷された本で読むのがベストだと思います(電子書籍だと文字の大きさでページの切れ目なども変わるため)。

 

感想

現代のビジネスモデル、SNS、ネット、AIレコメンドなどを切り口にしたブラックユーモア的なお話です。

SNS炎上の様子や、Wikipediaの話など、2017年の作品だそうですが現代社会を取り上げたテーマが多いです。

近未来のSFチックな話もありましたが。

下に少しネタバレ的に書いている内容もありますが、そのように結構斬新な切り口もあって、面白かったですね。

 

ネットやメール、チャットの文体(≒書簡形式)の作品って本で読むとリアルですよね。

通常の小説だと会話文=口語で書かれていますが、それを文章で読むと少しですが違和感があることが多いです。

変に説明っぽい口調とか、そんな言い回しはリアルな会話でしないだろ…とか。

一方で、ネットスラングやメール、チャットは出所が文章そのものですので、小説内に出てきても何の違和感もありません。

文語と口語の区分もあいまいになってきていますが、リアルな小説を考えると、元々が文章のもので作った方がリアルなのかなと思いました。

(説明が下手ですみません)

 

以下、ひとつだけネタバレチックに内容に触れると…

ある小説家(A氏)のファン(B)が、そのA氏の職場に案内される話があります。

そこでA氏と対面して話を聞くと、A氏の作品は世界各国からの外注で成り立っていて、世界中の業者が書いて納品した小説の一部分をかき集め、A氏がまとめて小説として出版しているという内容です。

A氏の主張では、映画もアニメも作品は分業が進んでいて当たり前というスタンスです。

 

これって皆さんどう思いますかね?

私も最初読んだときには、「そうするとこれは誰が書いた作品か分からないから嫌かな」と思ったのですが、逆に言えば映画監督にはほとんど興味がなく、誰がプロデュースしようと面白ければいいかなと思っています。

ゲームでも、任天堂のゲームに信頼は置いてますしマリオシリーズも好きですが、もはや宮本茂氏は直接作っていないでしょう。

本書のようにグローバルかつ大規模に外注することは(恐らく費用対効果として)ないにしても、知らないうちに小説家もひとりじゃないのかもしれませんね。

同質のものが作られていくのであれば、それもいいのかな。

 

 

 

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