クラウドファンディングという用語も一般化しましたね。
自分でプロジェクトを作った人はまだ少ないかもしれませんが、
投資をしたことのある人も増えているでしょう。
ただ、最近のクラウドファンディングのプロジェクトを見ていると、
ちょっと「おや?」と疑問に感じるものが多い気がします。悪い意味で。
そんなクラウドファンディングについて思うこと。
<目次>
- glafit、Qrioなど面白い商品が出てくる
- 最近のクラウドファンディングが単なる乞食化していないか
- 他にもどうなの?と思うもの
- ファンづくりや宣伝になるのは分かる
- クラウドファンディングが好きだからこそ、質を高めて欲しい
glafit、Qrioなど面白い商品が出てくる
私自身も、クラウドファンディングに何度かお金を入れたことがあります。
一番大きな買い物としては、電動バイクの「glafit」。
おおよそ12万円ほどしました。
1億円以上を集め、現時点で国内最大額を集めたプロジェクトとなっています。
ただ、買ったバイクは、最近は全然乗ってないんです。
パワーが無さ過ぎて乗る気が…という評価は、別の話なのでこの辺で。
他にも、落とし物防止の「Qrio smart tag」など、面白い商品には投資しています。
タグとスマホが無線でつながって、離れたり無くしたりした際に、音で知らせてくれます。
こちらも既に市販されていますね。
こういう、今まで世に無かった・少なかったモノの製品化に向けたプロジェクトというのは、クラウドファンディングの中でも、一番好きなパターンです。
投資したリターンとしてその製品が貰えるということで、通販に近いイメージです。
その他にも、会員制飲食店の優待など、モノではなくサービスを提供するものや、
こども食堂の開業などの社会問題解決(≒寄付型)のものもあります。
最近のクラウドファンディングが単なる乞食化していないか
しかし、最近のプロジェクトをみると、クラウドファンディングも様変わりしたような気がします。
私の個人的なイメージも多分に含みますが、そもそもは、
「こんな商品を考えたけど、開発資金が無いので製品化に向けて投資してほしい」や
「社会の課題を解決したいけど、ビジネスとしては難しいので賛同してほしい」という、あくまでビジネスまたはソーシャルな意味があったように思います。
ところが、最近のプロジェクトには、「自分の金でやれば?」としか思えないものも多く見受けられます。
一番酷いなあと思ったのはこれ。
あまりの酷さに驚いたので、名前は隠しておきます。
40代女性です。勤続20年の正規職員です。30代の頃に、離婚に伴う借金で約15年ほど返済を続けてきました。借金の内訳は住宅ローンや慰謝料です。毎月、赤字状態で家族や親戚に借金をお願いしたのですが、断られてしまいました。借金は512万円です。これさえ、完済できれば…
(略)
簡単に言うと「住宅ローンと離婚の慰謝料による借金512万円を返すので、クラウドファンディングで資金を募集します」というもの。
そしてリターン(報酬)=「借金を返済していく過程がみられます」ということで更に驚きました。
こんなプロジェクトを提案していること、そして、これをクラウドファンディングとして認めて乗っけているサイトの判断基準を疑いました。
少し個人攻撃っぽくなってしまいますが、もともと離婚で慰謝料を払う側ということは、自分の不始末で離婚でしょう。
さらに住宅ローンについても多くの人が借りて、きちんと返しているものです。
そんなものを、見知らぬ誰かから金を集めて人生やり直したいと。
甘すぎるというか、金に汚いというか…
釣りであってほしいと願いますが…
他にもどうなの?と思うもの
上のが一番酷いと思いましたが、他にもこれは酷いなあと思うものが結構あります。
ママチャリで九州一周するから3万円くれというもの。
実際は3000円しか集まらなかったようですが、それにしても酷い。
その他、以下に概要だけ羅列します。
これをクラウドファンディング、新たな資金調達手段として認めていいのか?
- 親を墓参りに連れていきたい
- 世話になった新郎新婦に旅行をプレゼントしたい
- 30代になったけど大学で勉強したい
- 世界一周旅行がしたい
(「旅行」で検索すると、この手のものがいっぱい出てきます)
プロジェクトによってはお涙頂戴的な内容も書かれていますが、
はっきり言えば「それはもはや乞食行為に近いのでは?」と思ってしまいます。
少なくとも、一番酷いと紹介した「借金500万円を返したい」は、
仮にお金が集まったら贈与税がかかりそうな気がしますけど、どうなんでしょう。
逆に「polca(ポルカ)」については、友人・知人同士でやる分には、まだ理解できます。
クローズドに身内でやらず、オープンにやるなら乞食に近いものがあるけど。
ファンづくりや宣伝になるのは分かる
クラウドファンディングという資金調達手段の注目度が高まっており、
プロジェクトがホームページに乗るだけで、ファンづくりや広告宣伝になることは分かります。
また、お金を出してもいいという人が出しているだけなので、私が口出しすることではないかもしれません。
ただ、このような拝金主義的なプロジェクト(というか乞食みたいなもの)ばかりになってくると、クラウドファンディング自体の質や評価が下がってしまうのでは?と危惧してしまいます。
仮想通貨にしたって「胡散臭い、危険」というイメージが先行してしまえば、「画期的な決済システム」だったものも使われなくなってしまいます。
(最近、そのイメージがあながち間違いではないので、例えとして不適切かも)
クラウドファンディングの運営会社にもよるんですけどね。
「Makuake」は「ビジネス」と言えるプロジェクトが多く、新商品開発が多いので面白いなあと思っています。
「Ready for」は、「社会課題解決型」のプロジェクトが充実していて、(きちんと運用されているなら)良いことだと思います。
「CAMPFIRE」は、結構ひどいのが混じってる印象。先に例で出したものも、いくつかはCAMPFIREから拾ってきました。
乞食行為は軽犯罪として処罰の対象です
ちなみに、「乞食行為」について、改めて調べてみました。
結論から言えば、乞食行為=軽犯罪です。
とはいえ、今のところクラウドファンディングでどんなプロジェクトを行ったとしても、反復・継続性が無いケース場合には、乞食行為には該当しないようです(私の解釈です)。
とはいえ、「ネットこじき」で書類送検された人もいるみたいです。
Amazonの欲しいものリストで「くれくれ」した場合も該当するのかしら。
クラウドファンディングが好きだからこそ、質を高めて欲しい
私も銀行にいた身ですから、クラウドファンディングの仕組みは画期的だと思いますし、前述したように新規性の高い商品などが好きです。
知り合いの企業や個人単位でも、クラウドファンディングを活用している人もいますので、応援として投資したことも何度もあります。
そこで資金調達に成功し、着実に事業展開が進んでいるケースも見てきました。
だからこそ、あまり有象無象が入り組んでいる、マイナスのイメージが付くことを恐れています。
「クラウドファンディングと物乞いと、何が違うの」というイメージが付くことで、
クラウドファンディングという手法そのものが衰退するのは避けてほしい。
そのためには、金額の多寡ではなく、「お金を貰う」ということに、もう少しシビアになるべきなんじゃないかなあと思います。
「ネットで適当に募集したら集まったwww」とか、「投げ銭もらえて良かった」とかじゃあなしに。
反対にお金を払う・投資する側は、「少額だからまあいいや」ではなく、
もっと真面目に考えて、真っ当なビジネス以外にお金は出さないということも必要でしょう。
そうでないなら、仲間内で勝手にカンパでもしてればいいお話なわけで。
1000円でいいから今すぐ稼げって言われても、サラリーマンには難しいですよね。
お金を集めるってことがどれだけ大変なことか、その敷居がゆるゆるになってしまうことは、経済的にも、モラルとしてもマイナスにつながるように思います。
これからのソーシャルな時代にはそぐわないのかもしれませんが、
私自身は、もっとお金の授受について、しっかり考えて責任を持つべきだと思います。
(2020.06追記)
また納豆フリーパスはく奪事件や、下着デザインなどで騒がれているようですね。
永久無料なんて無理なのは分かるけど、「できます!」と言ってできない。
デザインするから金くれと言っても「やっぱ無理だったわー」で終わり。
これらが事実だとすると、乞食というか詐欺にも近い極めて悪質な案件だと思います。
で、どっちもCAMPFIREの案件なんですよね。
やはりあそこは特にうさん臭いですね。