久しぶりに小説の感想です。
夏休みになると、【読書感想】記事の検索がにわかに増えることがあります。
これも、学生向けの作品なんですかね。
あらすじからネタバレもありますので、ご注意ください。
あらすじ
主人公の富山一志は、大学を休学中でコンビニの深夜アルバイター。
深夜ラジオのヘビーリスナーで、かつては「ジャンピング・ビーン」、現在は「トーキング・マン」としてラジオにネタ投稿をしている。
「アルコ&ピースのオールナイトニッポン(ANN)」 が特に大好き。
同じコンビニで働く、ニコニコ動画で歌い手「だいちゃ」として活動する鹿沢、昔からの友人で同じくラジオのヘビーリスナーの永川、
そしてコンビニの客として訪れ、アルコ&ピースのANNに「虹色ギャランドゥ」としてネタを採用されまくっている女子高校生の佐古田愛。
過去にラジオのネタ職人として投稿していたことがばらされ、かつ他人との(物理的)接触が極めて苦手な富山だったが、鹿沢の音楽活動や、佐古田の文化祭の演技、そして彼らとの日々の交流を通じて少しずつトラウマを乗り越え、自分を確立していくお話。
とは書いたものの
しかし、青春小説なんでしょうか?
今の若者のリアルが(自分が若いころも分からなかったけど)分からないので何とも言えませんが…
ストーリーとしては、確かに主人公の富山は成長したように思います。
個人情報が晒されてトラウマとなったラジオのネタ職人としてのトラウマを乗り越えた…と言えなくもないですが、それが別に佐古田や鹿沢との出会いによるものかというと、そうでもないように思えて。
元々、自分からラジオにネタを送るようになっていて、何というか劇的なようで、平々凡々な「思春期を乗り越えた」みたいな話にも思えます。
強いて言えば、鹿沢の歌い手としての姿、佐古田が学校で浮いていても演劇などをこなした姿や「虹色ギャランドゥ」としての姿、永川のアメーバピグでの姿など、友人達の多面的な部分を次々と目の当たりにし、「今の自分と異なる自分も、それもまた自分である」ということに気が付いたのですかね。
ちょっと考察っぽい!いや、浅いかな。
読んでて辛い口語文とラジオの説明
たぶん私は若者言葉が嫌いなんですよ。
小説において「地の文」が主人公の一人称であることはままあります。
が、本作では、若者の口語というのがイマイチ好きではなく…
そして、深夜ラジオに関して説明がクドイんですよね。
「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」をはじめ、「爆笑問題カーボーイ」や「伊集院光深夜の馬鹿力」など、実在する番組を使っているので、説明は正しいのでしょうが。
二分で番組が始まったばかりの頃は、アルピーも、本当に家族としてのガチな相談が欲しいと言い続けていたが、実際にマジな質問メールが一つ選ばれた時に、コレチガウデショとなったね。当時のこのコーナーは、本当にアウトでイカレてたよ。今もイカレてるけど、グロさが減ってセンスアップした。職人もだいぶ変わったし。
メガネびいきのクソメンの定義はむずかしい。単に冴えないヤツやブサイクのことじゃない。性格、人との関わり方、ポリシーが基準にもなる。良い感じに生きられてないってこと。永川もたいがいだが、俺のほうが、もっとクソメンだろうな。
クソメンって、あくまで、小木と矢作の主観なんだけど、リスナーはがっつり共有してるよな。自分で自分をクソメン、クソガールって言うのって別に自虐でもなくて、むしろ気分いいくらい。包容力のある言葉だ。
何でしょうね…
全く知らない若者たちが、興味のない身内ネタで騒いで、すごい!面白い!と絶賛してるのを見せられている感じでしょうか…
たぶん自分が全く知らないバンドのライブに行ったら、こんな気持ちなんだろうなあ。
どちらかというと、自分が行ってないし知らないバンドのライブが終わった後に、ファン同士の感想合戦を聴かされている気分か。
ラジオの1コーナーの説明やら、この時はこんなトークをしていて云々など、小説内で説明されると、何か嫌悪感を感じたのが正直なところ。
自分が少し深夜ラジオを聴いていた時代もありますが、それゆえ「そんな熱弁されても…」
特に本作の最後の方は、「アルピーのANN」が番組改編期に終わるか終わらないか?が延々とつづられています。
もはやこれがフィクションなのか、ノンフィクションなのか知りませんが、ラジオの独特の空気を、苦手な若者口調で延々と語られるというのは、正直なところ苦痛でした。
世間の評価は高いらしい
本作はラジオネタが満載ということもあり、ラジオドラマ化もされたそうです。
また、第30回の山本周五郎賞の大賞にも選ばれています。
※主に大衆文学・時代小説の分野で昭和期に活躍した山本周五郎にちなみ、すぐれた物語性を有する小説・文芸書に贈られる文学賞(Wikipediaより)だそうです。
ちなみにアルコ&ピースの番組がradikoで(オールナイトニッポンではなくTBSラジオ)で聞けたので聞いてみました。
つまらなくはないのでしょうが、ラジオ番組って世界が出来上がってるので、一回聞いただけではよく分からないんですよね。
スタッフらしき笑い声がうるさかったのもすこし気になりましたが。
わたしとラジオ
前にも書いたことがありますが、私も「伊集院光深夜の馬鹿力」は聴いていました。
厳密に言えば、1999年~2008年頃と、後はぽつぽつ、そして2019年はradikoで毎週聞いています。
いわゆるネタ投稿というのをやったことがあります。
当時は既にハガキ職人が絶滅しかけており、番組もメールやネットのフォームから投稿できるようになっていました。
深夜の馬鹿力では2回ほどネタを読まれました。4回しか送っていないので、採用率は素晴らしいと自負しています。
ちなみに私のネタが採用されたコーナー名が「ゲスダック株式情報」という、ゲスなダジャレで株式情報を垂れ流すというコーナーです。送ったネタは覚えていますが、基本は下ネタですので、ここでは披露しませんが。
ノベルティは、それ以前は「おしりコイン」というコインだったのですが、私の投稿したころは、「深夜の馬鹿カード」というものでした。
パーソナリティの伊集院光さんが全裸で、斜めにせり上がったトラックの荷台にぶら下がっているカードをいただきました。尻は見えています。
実家に置いてあるはずなので、出てきたらどこかで公開しますかね。
あと、先日書いたように最近はアイドル声優のラジオを聴いています。
特に文化放送の「Yui'room」。
最近は、刷り込み現象によるものか、小倉唯さんが好きになってきました。
しかし出演作品やら何やらはわかりませんし、メールを送ったことは全くありません。
まあラジオなんてのは、よほどのファンでない限り、適当に聞き流すくらいがいいんですよね、きっと。
話を「明るい夜に出かけて」に戻しますが、青春真っ盛りの青少年が読めば、また違った印象があるのかもしれません。
何だか、いつも以上に散らかった読書感想になった気がします。
それしても「Radio Ga Ga」の歌詞はいいね。