「儚い羊たちの祝宴」 米澤穂信 著
今回はネタバレなしです。
文庫本ですが、装丁が良かったので中身を一切見ずに買ってみました。
概要
物語は「村里夕日の手記」から始まります。
孤児院で育った彼女でしたが、丹山家に拾われ、5歳にして丹山家のお嬢様のお世話係になりました。
丹山家はそれはそれは大変な名家であり、お嬢様の吹子は厳格に育てられ、また家の名前を汚すことこそが最大の恥辱と言うような価値観でした。
吹子の兄の宗太は、そのような家にありながら使用人を惨殺して逃亡し、生死不明。
それを隠すために宗太は死んだとされたが、毎年宗太の命日に一族のものが宗太同様に手首を斬られて殺される。
その死因は隠され、全ては家を守るために、事件として処理されないような家だった。
しかし、その殺人の犯人と動機は、意外なものであり…
というのが、冒頭の大まかなあらすじ(1部目)です。
本書は5部に分かれていて、全てに丹山家のような、大金持ち&地元の名士の家が登場します。
感想
ジャンルで言えば、サスペンスになるのでしょうか。
5部全てが典型的なお金持ちの家で、お嬢様がいらっしゃるという舞台設定です。
我々庶民が想像するような、お金持ちのイメージで、地元では超がつく有力者、金で解決したがる、メンツを保ちたがる、といった典型的さです。
なので、逆に分かりやすいと言えば分かりやすかったですね。
描写も、それぞれ一人称視点で記述されているため、動作や心情も分かりやすいです。
作品としてはサスペンスらしく、いわゆる「犯人」「犯行」もミスリードを誘発するような構成ですが、奇をてらい過ぎてはいませんで、丁度良い塩梅でした。
金持ちのイメージ含めて、少しあるあるな感じがした部分もありましたが、総じて面白かったです。
続きが気になるような作りでだいたい1部50~60ページくらいなので、さらっと読めるのも良かったです。
ネタバレしないように書くと、こんなものですかね…
表紙買いもたまにはいいものです。
お金持ちと僕
いわゆる御屋敷を持っていたり、使用人を雇っているようなお金持ちには、流石に会ったことがありません。
住み込みで人を何人も雇えるクラスの財力(部屋の数や給料含め)ってどれくらいからなんですかね?
親戚のピーク時の年収が1億くらいあったようですが、税金も高いでしょうし、そこまで圧倒的なお金持ちという感じではありませんでした(金持ちだけど)。
年間の手取りで1億円くらいあれば、1~2人を住み込みで雇って…は可能は可能でしょうが、1億円くらいではそこまでのものも必要ないでしょうし…
まあ1億円ももらえませんし、金云々よりも広い家と他人と住むこと自体がストレスになりそうなので、一生縁がありませんね。
ルンバ数体とアイボでも飼うくらいでしょう。