「映画化決定」 友井 羊 著
映画化が決定した本かと思ったのですが、「映画化決定」というタイトルの本です。
本自体は7月末に買ったのですが、体調不良になると本を読む気もなくなり、結局9月になって読み終えました。
概要程度の、少しだけネタバレがあります。
友井羊さんというのは初めて読みましたが、なかなか読みやすかったです。
本の概要
ある男が「ハル」という人物の墓を参るシーンからスタート。
その男は自身の本が出版されるたびにハルの元へやってきて報告していた。
彼女から受けた影響で、彼は漫画家として今も作品を世に出している。
場面は一転し、主人公のナオトは趣味で漫画を描いている高校生。
たまたま学校で同級生のハルにその漫画「春に君を想う」を見られたところ、突如「この漫画を映画にしたい」と言われる。
ハルは映画部に所属し、既にインディーズ映画の中では評判を得ているような人物であった。
作品を大事に思うナオトは、当初は反対していたが後に賛成し、自らも撮影に参加する。
ハルは撮影場所や様々な人物との間で苦労しながらも映画を撮り続けていくが、ナオトの原作とは異なる部分も多い作品となった。
その理由とは…
感想
時々このブログでも書いていますが、「納得は全てに優先する」という言葉が好きです。
これはジョジョの奇妙な冒険第7部で、ジャイロ・ツェペリが言ったセリフです。
「納得」さえできれば、辛いことでも受け入れられる(かもしれない)し、前に進むこともできます。
主人公のナオトも、納得したがる人物のように感じました。
映画化の話、自分の「春に君を想う」の根源、父親のこと、ハルの行動…様々なことを納得したがっています。
納得すれば次の行動に結びつき、自分の未来も切り開けます。
それ以外にも、(いい言い回しが思いつきませんが)高校生らしい淡い青春というような描写もありました。
こういうのを読むと、高校時代に薄暗いクリーニング工場でバイトしてないで、何か部活動に打ち込んでいればよかったと少しだけ思いますね。少しだけ。
チームについて
映画撮影についても、細かい描写がいくつかされていました。
映画撮影自体はそれほど知識もないので、なるほど程度で読み流していましたが…
ふと思うと映画製作のように、私自身は集団で何かを作り上げるという経験をほとんどしたことがありません。
高校の文化祭の出し物の劇では「準主役兼監督」という超重要そうなポジションにいましたが、どちらかというと「いじり」の一環で、「あいつが監督を名乗ったら面白い」という役回りでした。
それはさておき。
集団で何かを作り上げるという経験が、ちょっと羨ましく思いました。
今の仕事も基本的には一人、ないしは部下一人を付けるくらいで、基本的にほぼすべてを自分がやっています。
映画製作を例にすれば、カメラはカメラだし、音声は音声、大道具は大道具で、それぞれのプロが力を合わせて、それぞれの領域に特化しています。
そういうチーム活動というのに、少し憧れましたね。
社交性がほとんどないので、ないものねだりに過ぎませんが。
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