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【読書感想】「方舟」。デスゲーム風です。

「方舟」 夕木春央

 

 

本屋大賞の候補作品って1月に既に出てたんですね。

確か10冊くらいがノミネートされていたかと思いますが、その中からタイトルなどで1番惹かれたのをチョイスしてみました。

 

 

概要・あらすじ

越野柊一は、学生時代の登山サークル仲間5人+従兄弟の翔太郎と共に、長野の別荘に遊びにやってきた。

そこで友人のひとり・裕哉が、以前来た時に、山間の地下に埋もれた謎の施設を見たということで、彼らは探検に出かけることにした。

山の中のマンホールのような蓋を開けると、更に地下深く下りる梯子があった。

梯子を下った先には、ワンフロアに20室もある地下3階建ての施設で、巨大な船のようで「方舟」という建物で、現在は無人の様子。

携帯電話は圏外だが電気や食料は確保されていて、さらには拷問器具なども備え付けられていた。

ようやく辿り着いた頃には時間も遅く、彼らは一泊していくことにした。

そこに、高校生の息子を伴った矢崎一家が、キノコ狩りで迷い込んだとして、「方舟」にやってきて、一夜を共にすることとなった。

 

しかし翌日、大きな地震が「方舟」を襲った。

建物は無事だったものの、出入り口は大岩が塞いでしまった。

岩を移動させる(落下させる)ことはできるが、その装置は手動操作で、かつ岩が落下すると退路が絶たれてしまう構造。

つまり、出入り口を復旧させるには誰か1人が犠牲となり、装置を作動させる必要があった。

 

誰もが誰かに押し付けることもできず、ただ悩んでいた。

そんな最中、突然の裕哉の絞殺体が発見された。

犯人は誰なのか、犯人を犠牲に装置を作動させられるか…

地下3階は既に水没し、水位がどんどん上がって追い詰められる中で、柊一と翔太郎は推理を続けていく。

 

感想まとめ

地下に閉じ込められたという抜き差しならぬ状況に加え、殺人事件まで起きているのに、誰もがやることがほとんどないという状況。

主人公の柊一ですら受け身のような存在で、他のキャラ達も切迫感があまりないというか…

後から出てきた矢崎一家の方が強い意志があったように感じました。

 

前向きに行動する翔太朗は、矢崎夫婦を除くと最年長者ですが、ストーリーテラーとしてキャラ立ちしていますが、結局ほとんどの推理は想像に過ぎず、彼の論述っぷりが少し強引に感じました。

最後は何となく方向性が読めましたが、トリックまではわかりませんでした。

 

ただやっぱりご都合主義的な設定かなという印象です。

ネタバレになるので詳しく書きませんが、最後の最後まで読んで「それ、結局は今やらなくてよかったよね?」という感じですかね。

そもそも、学生時代のサークルの集まりに、従兄(翔太朗)を参加させてる時点でかなり違和感でしたしね。

 

デスゲーム系について

本作品は、平たく言えば「デスゲーム」のような感じです。

閉鎖された施設。

誰か1人を犠牲にしないと出られない状況。

水没に向けたカウントダウン。

電気や食料は安心してね。

ただし、積極的に殺人をするというよりは、1人だけを犠牲にして脱出するというのが目的なので、あくまでデスゲーム"風"ですが。

 

こういうのって設定に納得できない部分も多くて、「もっとこうすればいいのに」とか「ゲーム化するためにご都合主義的だな」とか思ってしまうんですよね。

あらかじめ結末を決めておいて、そのためのルール設定やキャラ設定をしているような。

 

ただ、本作品ではデスゲーム系の話でありがちな狂人キャラみたいな、奇抜な人物は登場しませんでした。

なので、設定にご都合主義的な部分はあれど、人物像については比較的リアリティを保てていたのは良かったです。

逆に言えば、登場人物の人物像が見えてくるような描写もほとんどなく、印象の薄い人たちでした。

 

 

 

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