「恐山のイタコ」と言えば、死者の霊を呼び戻す口寄せで有名ですね。
昔話も含めた創作でも何度も出てきます。
守護霊を呼び出す人とはまた別なんでしょう。
イタコさんは祭事の時しかいないようですが、恐山に行ってきましたのでそのレポートです。
天気は最悪でしたが、それがまた雰囲気を出していたといえるかも。
霊場とは修行の場所
そもそも霊場とは?
いろんな定義があるようですが、霊験あらたかな場所で、古くから信仰される神聖な場所で、修行者などが集う場所のようです。
いわゆる寺社仏閣との違いがイマイチ分からないのですが、何となく「人里離れた修行の場」としてのイメージが強いです。
ちなみに私の好きな「三大〇〇」でいうと、三大霊場は比叡山、高野山、恐山だそうです。
知りませんでしたが、奇しくも一応全部回っていたのですね。
三途の川でカップルがお出迎え
青森市街から恐山に行くには、思ったよりも遠かったことは前々回書きました。
だいたい2時間30分はかかりますね。
山道をぐるぐるうねうねと登って行くと、開けた場所につきました。
赤い橋が見えたので立ち寄ってみると、「三途の川」と書かれています。
雨が降っているわりには、水がやたらと綺麗なんですよね。
恐山ブルーとして売り出せるくらい。
そして川沿いには有名な「奪衣婆」(だつえば:逆ストリッパー)とあまり知らなかった「懸衣翁」(けんねおう:ハンガーにかける人)がいます。
奪衣婆が服を奪い、懸衣翁に渡し、その服を木に引っ掛けて、その垂れ具合で生前の罪の重さが決まるそうです。
フンドシ一丁、いやむしろ最初から全裸で行けば無罪でしょうか?
現世では罪になりかねませんが。
恐山の境内へ
三途の川から車で1~2分で、恐山の境内にたどり着きます。
歩ける距離っちゃ歩ける距離です。
いきなりインパクトのある像が見えたので近づいてみると、地蔵×6体があらわれた。
地蔵の先を見ると、何だか荒涼とした風景が広がっていました。
そして三途の川の時点から気が付いていたのですが、かなり「硫黄」の匂いが強いです。
前に大涌谷に行った時も感じましたが、(タイミングにもよると思いますが)そちらよりも強いように感じました。
長居は危険な感じがしますが、境内に入っていきましょう。
入山料は500円でした。
お寺と温泉と山と浜と
入って行くと、こんな感じです。
まず最初に門がひとつ。
立派な門です。
こちらは後で気づいたのですが、本堂です。
上の門からみて左側にあったので、気づかずスルーしてしまいました。
随所に風車があります。
奥の方で知ったのですが、水子供養の場でもあるので、子どもの霊を慰めるためのものでしょうか。
門をくぐると、また更に直線が続きます。
さて、左右に小屋のようなものがあるのですが、実はこれは温泉施設でした。
奥に向かって左が女湯、通路を挟んで右が男湯です。奥には混浴もあるようです。
時間がなかったのと、タオルを持っていなかったので入れませんでした。
入山料に含まれているので、一応入っても良かったようです。
カメを間に挟み。
そしてここが本堂と勘違いしたところ「地蔵殿」という建物だそうです。
この地蔵殿から左側に、また恐山の「恐山らしい」風景が広がっていました。
恐山の奥へ
さて、恐山の奥へと進んでいきます。
ここから先は、しばらく石と岩による灰色な一帯が広がっていました。
硫黄の匂いが強く、温泉も湧くということで火山性が強く感じられます。
ところどころ、岩からも蒸気が出ており、熱を持っているのかもしれません。
この石は誰が積んだんですかね。
順路に従っていくと、上に登る階段がありました。
「熊に注意」が山の中ということでリアルな恐怖を誘います。
途中までは石段でしたが、以降は土部分が多くなります。
これが雨が降っているので、けっこう危ないんですよね。
ただ距離は短く、5分とかからず奥までたどり着きました。
奥には不動明王が鎮座しておりました。
降りるときはちょっとだけ眺めがいいです。
霧がかかっていますが、空の向こうには山々が見える…はず?
そして再び、岩の世界です。
しかし、少し先に進むと植物群が見えてきました。
遠くには、湖(宇曽利湖うそりこ)が見えます。
この火山っぽい独特の雰囲気がいいですね。
奥の方に進んでいくと、植物が増え、また道も平坦になっていきます。
賽の河原と極楽浜
数分程度進むと、平らな先に綺麗な水色が見えてきます。
周りの草木も、紅葉のせいか緑・黄・橙とカラフルです。
そしてここは賽の河原。
石を積んでは崩されることで有名な場所ですね。
そこをスルっと通り過ぎると、今度は砂浜にたどり着きます。
この荒涼とした世界。
しかし、湖が非常にきれいです。
これだけ雨が降っていても、この色味。
ここは「極楽浜」というそうです。
この天気だからイマイチですが、透き通るような青い湖に白い砂浜、ビーチ感があります。
そしてここには東日本大震災の慰霊像が立っています。
(正直、この手の後は若干不気味だと思いますが)
鎮魂の鐘と平和の鐘がありましたので、ちりりと鳴らしておきました。
それにしても綺麗な場所です。
極楽浜という名前もうなづけるかな。
恐山の感想:来てみて良かった!
そんなわけで、来た道とは少し違いますが、帰路につきました。
ちょこちょこ見るところがあるのですが、全部で1時間もあれば十分回れるでしょう。
そして硫黄が強いので、あまり長居も危険かと思われます。
温泉も、硫黄成分が強いので長湯できないみたいですし。
それで感想まとめですが…
現代は車で来ることもできますし、硫黄が匂っていると分かるとか、他の霊場との比較等もできます。
しかし、昔の人からすると、登るのも大変な山の上にあり、硫黄の強い匂い、湖に面した広くて青い浜や、火山っぽい独特の雰囲気、そして温泉・・・こうしたものの相乗効果で古くから「霊場」「特別な場」になったんだなあということが実感できました。
行ってみないと分からない雰囲気だとは思いますが、ちょっと不思議な気分になりました。
なお売店や飲食店もあったのですが、この少し前にマスクの紐が切れてしまい、「ご遠慮ください」に従って、入店することができなかったのがひどく残念でした。
さよなら地蔵メンズ。