緊急事態宣言を受けて、酒類提供をしている飲食店にも「金融機関からも働きかけを」という話が出たり引っ込んだりしました。
それを受けて、だいぶ炎上しているようですが、それくらい的外れな話だったんでしょうね。
銀行業にいたのがもう10年近く前なので、その時の知識と記憶ですが…
基本的に、金融機関は金を貸している企業(特に中小企業)に対してかなり強い立場を持っています。
大抵の企業はお金を借りていますし、「期限の利益の喪失」(簡単に言えば、今すぐ金返せと言うこと)、「抵当権の行使」などを使えば、相手の会社を潰して土地家屋没収までできる場合もあります。
が、一方でコンプライアンスは当たり前に存在します。
何の根拠もなくそのような権限が行使できるわけありませんし、何より潰すことが目的ではなく、金を貸したら返ってきて初めて利益になるので、潰れてもらっては困るわけです。
なので、酒類提供や感染対策の有無というあいまいな根拠だけで、そのような権限は行使できません。
法的な権利でない部分、貸し渋りやギリギリな返済計画などを迫ることはできるかもしれません。
それでも「信義則の原則」もありますし、長年取引をしていれば信頼関係もあります。
融資の可否判断からすれば、今の飲食店に新規融資できるか?といえば、通常の判断では難しいかもしれません。
しかし金融機関も企業や地域経済あっての事業なので、できる限りは細く長くとも生きて欲しい(そして少しずつでも返して欲しい)と思うものです。
というわけで、仮にそのまま通達が出され、金融機関に指示が出たとしても、実効性は乏しいものだったでしょう。
ただ金融庁が絡んでいると、恐らく「各金融機関は実施状況の報告を出せ」みたいな話になってくるので、お客さんに対して「感染症対策はどうなってますか?法に則っていますか?」みたいなチェックシートでもやらされそうな気がします。
私だったら、やったことにして適当に済ましたことでしょう。
私にも会社にも、お客さんにもメリットないですからね。
やーねー。