今の時代、ペーパーレス化は避けて通れませんね。
もちろん紙の良さも理解していますが、コスト削減にもなります。
しかし、本質が分かっていない人が流行に乗って改革を進めると悲しい事が起きます。
会議のペーパーレス化が決まった
最近、わが社も会議のペーパーレス化を推進することになったようです。
私は数年前からずっとペーパーレス化を主張し続けていたので、これ自体は素晴らしいことだと思います。
正確に言えば、そう思っていました。
これまで役員向けに30ページ超の資料をご丁寧に表紙付きでフルカラー印刷していたので、1枚10円で計算しても、それだけで費用が約1万円かかる計算です。
さらに、プリンターが占拠されることで他の人にも影響がありますし、
1枚ミスが発覚すればホチキスを外して印刷しなおして…みたいな手間もありました。
それが、パワポやらワードやらで資料を作って、役員はノートパソコンでそれぞれ見て会議をするということに落ち着いたようです。
パソコンの画面に謎の付箋が…?
という決定が1年ほど前にありました。
その後ふと、会議資料を作っている同僚のパソコンをみると、謎の矢印が書かれた付箋が貼ってある。
一人だけかと思いきや、会議資料を作る別の担当のディスプレイにも付箋が。
私の知らないところで流行ってるのかと思って理由を聞くと、
「役員用のノートパソコンにちょうどいい大きさで表示させるのは、この矢印の位置なので、全ての資料を綺麗にここに揃えなくちゃならない」とのこと。
どうやらうちの役員達は「オフィス系ソフトで作った資料の縮尺を、自分の見やすい大きさに変える」ということは、高度過ぎてできないようです。
あるいは役員直下の部長あたりが「役員様にパソコンの画面表示の調節をさせるなんてとんでもない!」という素晴らしい忠誠心から、こういう対応をしているのでしょうか。
話を聞くとその両方が理由とのことで、こりゃ酷いと思いましたが。
さらに、場合によってはディスプレイに定規を当てて大きさを測り、会議資料の形式を整えることもあるとかで、印刷した紙の資料の方が数倍ラクなように思います。
流行りに乗って改革しようとすればいいのではない
話題を戻して、会議資料のペーパーレス化を推進するのは、
- 印刷費の削減
- 持ち運び(紙媒体ではなくデータで送れる)の容易さ
- 修正など即時性が高い(印刷だと、また印刷しなおし)
- 共有性が高い(急に参加者が増えてもデータを送ればOK)
などのメリットがあります。
それを、定規で測って全ての資料をディスプレイの付箋の位置にそろえるなんてアナログ作業をさせているようでは、こんなメリットは全て吹き飛ぶでしょう。
ここまでが数か月前の話ですが、最近は、会議資料の表示確認用に「役員が使うのと同じノートパソコン」を購入したそうです。
もちろん使うのは、会議資料の表示の大きさがちょうどいいか確認するときだけ。
改革を行うことのメリットとデメリットの大小関係が理解できず、
ただ「改革」「先進性」「流行」だけを求めるとこういう無駄が生まれます。
流行りのテレワークやクラウドソーシングにしても、うまく活用できている企業もあれば、
結局は無駄な投資と大きな管理コスト・リスクを背負っている企業もあります。
驚くほどパソコンを使えない世代
最近の新入社員には、ずっとスマホを使ってきたのでパソコンが使えない人もいるという話はよく聞きます。
が、それよりも今の50~60代には、驚くほどパソコンが扱えない人がいます。
未だに指一本でキーボードを打っていたり、コピー&ペーストも知らないから同じ単語を何度も手入力していたり、ローマ字打ちができなかったり。
今日は57歳の上司から「ホームページをお気に入り登録しにこっちに来てほしい」とわざわざ内線電話で頼まれました。
断りましたけど。
そんな程度のパソコンスキルしか持っていない人たちに、ペーパーレス化は早すぎるように思います。
まとめ
話が散らかりましたが、
「改革する=良いこと」ではないのだから、「何のために改革するのか?メリットは出るのか?リスクは?」等々を、一歩引いた視点で考えてから行動しよう!ということです。
「ペーパーレス化を進めよう」という改革テーマで言えば、デジタル端末が最低限使えることが前提となるでしょう。
働き方改革の一方的な残業削減などもそうですが、できもしない「改革」を無理に進めることで余計に首が締まっては、本末転倒ですね。