元々、おしどりとは雄の方だけを指し、雌はめしどりって言うんですよ。
そんな嘘から始めてみましたが、おしどりと言えば、何と言っても「おしどり夫婦」に代表される存在。逆に言えば、それ以外何も知りませんでした。
ちなみに日本の夫婦の約3分の1は離婚するそうですが、複数回離婚もいますからね。
うちの親戚は、同じ人と二回結婚して二回離婚したというアクロバットをしているので、そういう人が少し平均を上げているのでしょう。
今回は、ひとり旅シリーズなのですが、珍しく「おしどり」の話題です。
おしどりってどんな鳥?
おしどりと言われても、どんな鳥かあまりイメージが湧きません。
本気で知りたい訳じゃないけど参考にしたいときにはWikipedia。というわけで、オシドリのWikipediaを参照しました。
カモの仲間で、派手な見た目をしています。
そして何より驚いたのが「鳥類のオシドリは、冬ごとに毎年パートナーを替える」とのこと。
おしどり夫婦というのは、あくまで一冬限りのワンシーズンラブだったようです。ゲレンデマジックかよ。
遺伝学的には、毎回パートナー替えていくというのは多様性が確保されていいのかもしれませんけどね。
おしどり夫婦の元となった民話は、新潟県に伝わるこんな話だそうです。
ざっと内容を書くとこんな感じ。
- 猟師がオスのカモを捕獲して食べる
- 翌日、メスのカモが家の前で死んでいたので食べる
- 夢にカモの亡霊が出てきて、「カモの夫婦は相手が死ぬと生きていけない」と告げる
- 猟師ショック
「おしどり夫婦 民話」で調べると、いろんなところで同じような話があるんですよね。新潟発というのもどこまで正しいやら。
ただ、いずれにしても民話の根幹には、「夫婦の相手方が死ぬと、生きていけない」と人間を諫めるシーンが共通しているようです。
ワンシーズン限りにしては、ずいぶんな熱の入れようですね。
おしどりを取り上げた理由
今回、ひとり旅の中で、やたらとおしどりに会う機会が多かったためです。
宇都宮とおしどり
最初に出会ったのは、宇都宮でした。
駅から10分ほど歩いたところに、「おしどり塚」という塚を発見しました。
この「おしどり塚」ですが、またおしどりに関する逸話が元になっています。
塚の歴史はおしどり夫婦の民話とほぼ同じです。
オスのおしどりが矢で射られた後、メスのおしどりが自らも死を選び、それに猟師が心を打たれて悔いるという、おしどりあるあるパターンでした。
山形とおしどり
続いては、山形でお土産を選んでいたときのこと。
「ミルクケーキ」とやらがメジャーだと知ったので、買ってみることにしました。
すると、正式名称が「おしどりミルクケーキ」だということに気が付きました。
ちなみに、普通のミルク味だけでなく、チェリー、ラ・フランス、いちご、抹茶など様々な味が売られていました。
これを作っているのは、日本製乳株式会社という山形県の製造業。
1919年(大正8年)創業という歴史がある会社でした。
商品名の「おしどり」ですが、日本製乳株式会社のホームページにはこんなことが書かれていました。
おしどりの名前には、生産者と販売者がおしどりのように仲良く力を合わせ、「日本の新しい食文化をつくる」との願いが込められています。
おしどり粉ミルクの生産は日本製乳、販売は東京銀座の長井越作商店にお願いしました。会社設立わずか4年後の大正12年に関東大震災が起き、甚大な被害を受けることとなります。この時、長井商店は、本社家屋、商品の焼失など困難な状況におかれながら、滞りなく商品代金の支払をされたのです。お蔭様で、地方の代金回収がままならない中、会社はなんとか出直すことができました。おしどり助け合い精神の賜物です。
今回の東日本大震災(平成23年3月11日)では、伝統を受け継ぎ、森永乳業との連名にて、非常食として簡便なミルクケーキ500ケース(2万5000袋)を高畠町に寄贈し、被災者に届けました。山形県は東北支援物資の供給基地となりましたが、拠点である天童市の山形総合運動公園から支援第一陣として出荷されました。
消費者と生産者が仲良くということだそうです。
夫婦に限らず、産業も消費者も生産者も両方いないと成り立たないですからね。
岩手・一関市とおしどり
最後は岩手県南部、盛岡市と仙台市の中間くらいに位置する一関市です。
こちらは、一関市の「市鳥」がおしどりとのこと。
駅前のポケストップを見てみたら、そう書いてありました。
しかし、このポストの上には、おしどりは置かれておりませんでした。
どこかへ飛び立っていったのでしょうか?
そしていろいろ調べてみたところ…
旧・一関市の市の鳥は、確かにおしどりでした。
しかし、2005年の吸収合併により新・一関市になって以降、市の鳥は「うぐいす」に変更されて、おしどりは解雇となったようです。
そんなことすると、メスのおしどりが化けて出てきそうですが、勝手に市の鳥と言われてもおしどりサイドも困ることでしょう。
まとめ
山形県、鳥取県、長崎県では依然として県の鳥だったり、かたや絶滅危惧種(レッドリスト)にも乗っていたりと、意外と話題になりそうな鳥のようです。
というわけで、いろんな所でおしどりをやたらと見かけたというお話でした。