いや、タイトル詐欺に近いです。
そこまで真面目には考えられませんでした。
「地球に暮らす生命」の概要
今回観たのは、「デヴィット・アッテンボロー 地球に暮らす生命」です。
Netflixのオリジナル作品です。
自然学者であるデヴィット・アッテンボロー氏。
何十年か前にアッテンボローという名前を聞いた覚えはありましたが、撮影当時は御年93歳だそうです。
本作は、映画というよりは彼の「主張」を延々と流していく独白形式です。
スタートは、チェルノブイリ原発事故があったウクライナの廃墟からです。
基本的には、環境問題の提起(生物多様性の消滅、世界人口の増加、自然環境破壊の現状等)と、その解決の方向性・今後の世界に関する内容で、平たく言えば「環境問題の啓発動画」です。
映画だと思っていたのですが、ドキュメンタリーでした。
本動画の主張
※字幕でみた私の解釈なので、一部間違いがあったらすみません。
環境破壊の状況は、主に熱帯雨林や温暖化といった話。
そしてそれを解決するための手法についてですが…
- 再生可能エネルギーを活かしていこう
- 肉食から菜食主義へ
- 少子化が良い⇒日本は先進的
一番下はちょっと違和感がありましたが、こんな主張がありました。
1の再生可能エネルギーについては、今更ですが、まあ理解しやすいです。
2の肉食・菜食については、野生の肉食動物の例が挙げられていました。
チーターのような肉食獣が1匹生きるためには、エサとなる動物を大量に殺して食べる必要があります。
森林伐採された後の農地は、そこに自然が帰ってくる余地がなく、どうせ農地にするならば、オランダの農業のように非常に効率的にやるべきだ、という話です。
この辺が農地批判と菜食主義を両方主張しているように一見感じられましたが、恐らくは牧畜が非常に非効率であること、農地も現状は生産性が低いということが言いたいのかなと思いました。
面積で稼ぐのではなく、狭い土地で超効率化した農業をやるべきだと。
また、人口が多過ぎるという話も出てきます。
世界人口がこのままいけば2100年には109億人(国連の推計値)。
現状の80億人程度でも、この環境破壊状況なので、ここから更に20億人増加は危険というお話です。
その中で、日本の少子化のことが取り上げられていました、良い意味で。
普通に考えると、少子化=マイナスですが、彼の主張では、日本は少子化に努めていて人口を横這い推移させている、と肯定的な論調で述べていました。
そういう見方もあるんですねえ。
映像の力
環境問題に造詣も関心も乏しい私ですが、映像の力によって引き込まれる部分が多々ありました。
環境問題を伝えるのに、単なる文章や言葉だけで伝えるのではなく、映像があると一気に関心が高まりました。
(動画より)
見たことのない、一生見ることはないであろう動植物の貴重なシーンや、絶景と言える景色などがふんだんに使われていて、映像作品として観ても面白いです。
変な鳥とか、クジラの群れとかね。
(実は見る前は、こういう生態系映像がいろいろ見られるだけのほのぼの作品だと期待していたのですが)
環境問題について思うこと
結局は、思想だけでは人は動かないので、何らかのメリットor強力な危機感がなければいけないと思います。
二酸化炭素の排出権やいわゆる環境税などは、経済性を与えることで環境負荷を減らそうという取り組みですね。
逆に言えば「金さえ払えば気にしなくていい」という思想にもなりそうな気がしますが。
そもそも「自然⇔人工」という対比がイマイチしっくりきていません。
人間も自然の一部であり、人間が自然破壊と言っているものも、自然の営みの一部。
古来から、ある生き物の都合で他の生き物が絶滅するなんてことは繰り返されてきているはず。
それによって地球が滅ぼうが人類が滅ぼうが、それこそが自然ではないだろうか。
と、そんな風に私も考えていたのですが、そういう言葉遊びで逃げるような歳でもないかなと思い始めてきました。
ここ数年、太陽アレルギーになったのはもしかするとオゾン層の破壊で紫外線が強まっているのかもしれません。
ゲリラ豪雨や台風も、最近は多い気もしますし…これも温暖化の影響なんでしょうか。
日本ももはや亜熱帯になりつつある、なった?なんて話も聞きますしね。
とはいえ、私は自分本位の人間です。
しょせん私一人が何をしても…という思考は捨てきれませんし、環境意識が一気に高くなることはありませんが、そこそこは「自然に優しく」となりつつあります。
そういえば、最近オゾン層と酸性雨って聞かないですね。
逆開発
この作品の中では、自然保護というよりもリワイルド=野生化という言葉も使われていましたが、こっちの方がしっくりくる感じがしました。
千葉県のローカル鉄道「小湊鉄道」の養老渓谷駅という駅前に「逆開発」というコンセプトがあります。
普通の駅前開発というと、エリアを区切って商業ビルを作ってマンション建てて…というのが一般的。
養老渓谷駅は、駅名の通り、ど田舎の中にあり、観光地ではあるものの人口がほとんどいない場所。
そこで生まれた「逆開発」では、コンクリート舗装を剥がし、雑木林を戻そうという取り組みを10年以上かけて進めようとしています。
この取組自体は小さな試みではありますが、自然との共存という意味では大きな意味がある…のかもしれません。
野生とは違うと思いますけどね。
逆襲のシャア
「地球に暮らす生命」の最後は、再び原発事故後の廃墟となったウクライナの街の映像。
しかし、そこには木々が生え、野生動物が徘徊しています。
人間がいなくなっても、自然はまた還ってくるという感じで締めくくられています。
これを見て、映画「逆襲のシャア」のシャア・アズナブルは、「地球で人口が増えすぎ、宇宙人にとっても害となっている。アクシズ(巨大要塞)を地球に落として核の冬を引き起こし、人類を粛清するとともに地球を休ませてやる」というような主張をしていました。
この主張は、アムロが「エゴだよそれは!」と一蹴していましたが、そんな話に通じるものがあるなあと感じました。
地球に感情があったら、どっちを取るんですかね。