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【読書感想】「ジキルとハイド」。二重人格だけじゃない。

これだけ有名作品で、しかも内容を何となく知ってしまっているので敬遠していましたが、一度くらいは読んでおこうと。

ネタバレはありますが、まあみんな知ってますよね。

若干、表紙からもネタバレがあるような気がしますが。

 

 

 

あらすじ

舞台は18世紀後半のロンドン。

弁護士で真面目なアタスンは、友人のジキル博士の家に、ハイドという男が出入りしていることを聞く。

このハイドは、自分にぶつかった小さい子を躊躇いもなく足蹴にしたり、果ては国会議員を撲殺したりと悪行を重ねていた。

ハイドの目撃者は、一様に見た目が奇形で底知れぬ不快感や悪意を感じると、口々に語っていた。

そんなハイドに対し、ジキル博士は「自分の死後の財産は全てハイドへ」という遺言まで、アタスンに託している。

アタスンは、ジキルとハイドの関係を明らかにしていく。

 

単なる二重人格ものではなく 

超有名策という意味では、ネタバレしちゃってもいいと思うので書いてしまいます。

 

ジキルとハイドと言えば、二重人格の代名詞として今でも使われています。

ただ、漠然と「良い人と悪い人の二重人格もの」というだけではない面白さがありました。

本作では、薬の力を使って、ジキル博士とハイドは、容姿も完全に切り替わるそうです。

そして、ジキル博士は善行を重ね社会的地位も築き上げた、立派とされる人物。

しかし、内実では「悪」への憧れが渦まいており、それが具現化したのがハイド。

ハイドになったジキル博士は、彼(=自分自身)の悪行に恐れを抱きながらも一部では快楽を感じ、その狭間で葛藤を続けていました。

その善悪との葛藤が、最後にジキル博士からの手紙という形で記されるのですが、そこの心理描写が何とも真に迫る感じで面白かったです。

 

二重人格

医学的には二重人格や多重人格と言わず、「解離性同一性障害」というみたいですね。

概念的には何となくの理解ができますし、マンガなどの創作の場面では結構出てきますね。

ただ、その本質というか、その人の気持ちというか、そういったところは全く理解が及びません。

普段の自分なら取らないような行動や思考パターンというのをすることがあり、後から「何であんなことを?」と思うことはありますが、これは二重人格云々は関係ないでしょう。

 

二重人格の人って実際にはどれくらいいるんでしょうか?

これが起こる原因としては、何らかの被害・トラウマなどから逃げ出すために架空の人格を作り上げて…ということらしいですが…

 

多重人格で有名な人物と言えば、私でも名前を知っているのはビリー・ミリガン。

24人分の人格があるとされ、その1人格が犯罪を犯したことで有名になりました。

ja.wikipedia.org

 

ジキルとハイドのように、善と悪のような区分けならまだ分かるんですが…

ビリー・ミリガンの中には、レズビアンの女性の人格や、イギリス人の少女の人格などもいたそうです。

180㎝、90㎏のガタイの男が、(急に)塗り絵の好きなイギリス人少女のふるまいをする。

周りからすれば正直なところ恐怖感があると思いますし、なぜ少女の人格になったのかという疑問があります。

 

二重人格を飼いならせれば…

逆に言うと、使いこなせるようになったら、それはそれでメリットもあると思うんですよね。

Aという人格では嫌なことも、Bという人格にやらせれば好んでやるとか。

 

人格とまで言わなくても、特に下っ端サラリーマンなどは、自分とは違う性格を演じて仕事をする人も多いでしょう。

営業訪問中とか、上司からの圧とか。

それに限らず、100%本音だけで生きている人はそうそういないでしょうし、そういう人はだいたい迷惑な人間ですし。

 

というわけで、自分にはない人格を創り出すことをやってみようかと思いましたが、その過程こそが危険な気がするのでやめることにしました。 

 

 

読書記事

 

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