久しぶりの読書感想。今回は「1時間でわかる西洋美術史」です。
先に言っておくと、「1時間じゃ読めねーだろ!」ということですかね。
逆に言えば、内容も充実していると言えばしている本です。
美術史とぼく
いろんな企画展などには行くものの、日ごろから芸術(特に絵画)に親しんでいるかというと、全くそんなこともありません。
世界史の授業も受けてはいましたが、カタカナ語は覚えられないので、割と苦手でした。
そんなわけで、美術史なんて最も苦手と言っても過言ではありません。
この本を読んで最初に知ったことは、恥ずかしながら「ミロのヴィーナス」が紀元前の作品ということでした。
15世紀ヨーロッパとか、もっと近代の作品だと思っていたナリよ。
原始芸術から現代まで
さて、本書ですが、見つかっている最古の絵画とも言われる2万年ちょっと前のラスコーから、20世紀までの芸術の概要が載っています。
ざっと読むと美術が変わるのは流行り廃りもあるようですが、それ以外の外部的要因から変わることも少なくないようでした。
特に昔は政治や宗教が今以上に強大な影響力を持っていましたので、そのせいもあるのでしょう。
まず「宗教」。特定の宗教が広まると、信仰のために建物・彫刻・絵画などが制作されます。
そもそも、教会だろうと仏像だろうと、宗教が無ければ作られることはありませんでしたし、残されることもなかったでしょう。
無信心と呼ばれる日本人ですら、法隆寺が遺されているのは芸術という範疇以上に宗教の力によるものです。
また、古代は現代ほどは識字率も高くはないので、絵画や彫刻で布教するという考え方は盲点でした。
確かに私もバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂に行った際には、言葉は全く分からなくても厳かな雰囲気などは伝わりました。
そこに巧みな話術も使われたら、純粋な人ならばすぐに帰依してしまうでしょう。
次に「政治」も美術に大きく影響を与えます。
偶像崇拝や特定の宗教が禁止されることで、すなわち絵画・彫刻などが破壊されるのが最たる例。
また、政治家や国家がパトロンとなって芸術振興または特定の芸術家の支援が進むこともあります。
最後に「貧富」。少し政治と被りますが…
初期の芸術(ラスコーなど)は庶民というかそもそも階級のほとんどなかった時代のものですが、以降は芸術=富裕層の楽しみという側面が強かったようです。
確かに今日の食事に困っているんだというような状況では、芸術活動に取り組む余裕も鑑賞する余裕も皆無でしょう。
金持ちが描かせたものを、一般に公開するとも思えませんし…
今はイラストレーター等も含めて多くのクリエイターが世の中にいますが、そういう人たちが多く存在できること自体が社会的な豊かさの一つの象徴と言えるのではないでしょうか。
古代にも芸術に取り組みたかった人もいたでしょうが、食うのが先ですし、道具や材料を調達するのも大変でしたでしょうからねえ。
一度読んだだけじゃ分からんナリよ
カラーで作品がいくつか載ってはいますが、いかんせん元々が不勉強であるため、一度読んだくらいでは、西洋美術についてほぼ全く理解できませんでした。
アート展に行った話(過去記事)
もっといっぱいありますが、一部を抜粋してみました。
【ムンク展】
【ルーベンス展】
【荒木飛呂彦原画展】
【デジタルアートミュージアム】